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僧侶「リア充呪われろ」#前編 【ファンタジー】


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1329155963/

僧侶「リア充呪われろ」#前編
僧侶「リア充呪われろ」#後編




1 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 02:59:23 ID:kF4YZqcE


宿屋「二部屋でよろしいのですね?」

勇者「ああ、宿代も節約しないとな」

女戦士「いつも通り2:2で分かれればいいよね~」

女魔法使い「あ、お風呂ってありますか?」

宿屋「一階の突き当たりの部屋が浴場となっております」

女魔法使い「ありがとうございます。それじゃあお部屋にいきましょうか」

宿屋「はい、ではこちらがそれぞれの部屋のカギとなります」

勇者「はいどーも。んじゃいきますか~。あー僧侶、男部屋のカギよろしく」

僧侶「…うん」



僧侶「……。」

.



2 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:00:20 ID:kF4YZqcE

―――【202号客室】―――


勇者「ふぅ…やっと一息つけたな。んじゃ俺はちょっと出てくるわ」

僧侶「……あぁ鍛錬、でしょ?――こっちも荷物整理やら済ませたらとっとと寝るよ」

勇者「そういうこと。魔物も強くなってきてるし、体はちゃんと鍛えておかなきゃってなー。

   んじゃ『いつも通り』カギはまかせた」

僧侶「……。」



…ッ アッ… …ョット、イキナリ… ンンッ…

僧侶「」

―――





3 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:01:16 ID:kF4YZqcE

四人は魔王を倒すために旅をしている。同じ国の出身で、幼い頃から魔王軍の脅威に晒されていた。

軍備に力を入れていた国のおかげで魔物を退ける事はできていた。

だが、戦うたびに傷は深くなっていく。

友人を失った、家を破壊された、家族を殺された。

そんな経験から、魔王を倒すべく討伐軍に志願しようと鍛錬を重ねていた。

そんなある日、勇者が『選ばれし者』として神託を授かる。

伝説とばかり思われていた『選ばれし者』。その出現に国は戸惑った。

魔王の軍勢との小競り合いが続いていたせいで国は疲弊しており、

討伐軍を編成するだけの余力は残されていなかった。

一国の安寧と世界の平和。その選択に、国王はとても苦しんでいた。だから、四人で旅立つこと決めた。

最初は反対された。無理をしてでも討伐軍を編成してくれるとも言った。

けれども、四人にとっても故郷の国は大切なものだった。

最終的には国王が折れた。

国で用意できた最良の装備と資金を受け取る。

定期的に連絡と物資を送ってもらうことを約束してもらい、旅にでた。

順調な旅だった。それぞれがそのために鍛錬を重ねてきたのもあったが、

『選ばれし者』としての勇者の力は絶大だった。

戦士の膂力に魔法使いの魔力。両方を兼ね備えるばかりか、

それ以上の力を発揮し、これまでいくつもの町や村を救ってきた。

.



4 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:01:57 ID:kF4YZqcE


僧侶「だから」

…ァンッ イイッ… イクッ! …アッアッ…!

僧侶「…だから、そんな姿を傍で見てきた二人が勇者に惹かれるのも」

ギシギシ アンアン

僧侶「…仕方の無い、事なんだ」

.



5 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:02:41 ID:kF4YZqcE

―――【翌朝】―――


僧侶「ふぁ…ぁ。朝か」

僧侶「勇者は、戻ってきてないか」

備え付けの水がめで顔を洗い、昨日風呂に入りそびれたのを思い出し、体も拭いた。

朝食のために一階に降りると、もう三人は食事を始めていた。

勇者「おう僧侶、また寝坊だったのか。悪いがもう食べ終わるところだぜ」

女戦士「おはよう~僧侶。ここのところ野営ばっかで布団で寝てなかったもんね~」

女魔法使い「おはよう、僧侶くん。えっと、昨日は良く眠れた?」

目線を合わさずに、俯いて言う。勇者と女戦士がニヤニヤしている。

僧侶「おはよう、みんな。昨日は疲れていたから、勇者が鍛錬にいった後はすぐに寝てしまったんだ」

  「魔法の修行もしなくちゃいけないんだけどね、眠気には勝てなかったよ、ははは」

できるだけ愛想良く、用意した台詞を並べる。

女魔法使い「そ、そうだよね。私も疲れててすぐ寝ちゃったんだ~」

ほっとしたような顔で、彼女は言う。



6 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:04:20 ID:kF4YZqcE

勇者「おいおい、鍛錬を重ねてるのは俺だけかよ!しっかりたのむぜ」

女戦士「うんうん。日ごろの修行がないと、いざってときに困るからね!」

僧侶「ははは」

勇者「うっし、ごちそうさん。それじゃ俺たちは町で買い物をしてくるからさ。

   荷物をまとめたらお前もこいよな」

女戦士「やったっ久々の買い物だねっ!楽しみ~!」

女魔法使い「先にいってるね。…あの、僧侶くんは何か欲しいものとかある?」

僧侶「それじゃ、聖水と薬草の補充を。あれば斑蜘蛛糸もお願いしたいかな」

勇者「んだよ、またみみっちい買い物だな。商人のほうが向いてるんじゃないの?お前」

女魔法使い「ちょ、ちょっと勇者!」

僧侶「ははは、そうかもね。それじゃ、買い物はお願いするね。」

女魔法使い「う、うん。気にしないでね、僧侶くん。勇者も悪気があるわけじゃないから」



7 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:05:10 ID:kF4YZqcE


僧侶「ははは」

勇者「それじゃーなー」

僧侶「うん、またあとで」



僧侶「……。」

その朝のパンは、やけに乾いてボソボソとしていた。

.



8 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:05:45 ID:kF4YZqcE

―――回―――

――なんだ、まーた泣くのかよ

  ほら、泣くなって。女戦士や女魔法使いに笑われるぞ

  今はまだ弱いのなんか当たり前だって!いつかおれにだって勝てるさ!

  …しょーがねーなぁ。んじゃヤクソクしようぜ、ヤクソク。

  いつか、オトナになったらさ、魔王を退治しにいこうぜ。一緒にさ。

  ぜったいに連れていってやるよ!魔王やっつければ、おまえを弱虫だなんて言う奴いなくなるよ。

  だからさ、ヤクソク。魔王を、一緒に――

―――想―――

.



9 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:07:28 ID:kF4YZqcE

―――【森林】―――


町を出て、次の町へと向かう。

隊列は先頭が勇者、隣に女戦士、そのやや後ろに女魔法使い、その後ろに自分。

女戦士「うーん、やっぱり新しい武器はワクワクするねっ」

勇者「俺は盾くらいしか買い換える部位がなかったからな。まっしばらくはこの剣で充分だろ」

女戦士は新調したらしい剣を片手に上機嫌だった。勇者と武器の見せ合いなどをしている。

勇者「女魔法使いは何買ったんだっけ?」

女魔法使い「あ、この髪飾りを買ったんだ。魔力が上がるらしくって…その、変かな?」

勇者「いやいや、似合ってるぜ!まぁ美人は何を装備しても似合うと思うがなー」

女魔法使い「そ、そんなことないって」

女戦士「むー、アタシにはそういうのないわけ?その刀身よりも君のほうがキレイさっ!とか」

勇者「刀身よりも凹凸が無い体だなーとか…いってえっ冗談だっての!」

勇者の顔面にビンタがはいる。女魔法使いが二人を見てくすくすと笑う。

そっぽを向いた女戦士に、勇者が耳元で何か囁くと、女戦士は耳まで真っ赤になった。

そんな光景を四人分の荷物を肩に食い込ませながら見ていた。



10 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:08:08 ID:kF4YZqcE

―――思―――

旅の初めは、前衛二人が攻撃、後衛二人が補助と回復と、それぞれの役割がはっきりとしていた。

しかし勇者が力をつけはじめると状況が変わった。

勇者は剣での攻撃の傍ら、回復呪文も使いこなすようになった。

初めのうちは不慣れだった為か、魔力の効率がいいわけではなかった。勇者に呪文を教えることもあった。

それを勇者は難なく覚え、改良し、いつしか僧侶の自分を超えるほどの回復力を身につけた。

焦った。このパーティに居場所が無くなるのではないかと。

みんなの負担になってしまうのではないかと。

夜も寝ないで魔法の研究をした。

新しい町や城に着くたびに神父に教えを請い、新しい呪文を次々に覚えた。

だがどれだけ努力しようとも、勇者に追いつくことはできなかった。

そうしていつからか。せめて荷物にはなるまいと、皮肉にも荷物持ちをするように。

後ろめたさから始めたそれは、いつしか習慣になってしまっていた。

―――考―――



11 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:08:50 ID:kF4YZqcE


ぼんやりと三人のやり取りをながめていると、前方の茂みの中から魔物が飛び出してきた!

僧侶「―――っ!」

慌てて荷物を降ろし、戦闘準備を整える。杖を構え補助呪文を唱えようとすると――

勇者「…あー、びっくりした。唐突にでてくるのなお前ら」

女戦士「あーん、せっかく買った剣を試したかったのに~」

女魔法使い「見通しの悪い森の中だから、気をつけてすすまないといけないわね」

――両断されて地面に転がる魔物の姿があった。

勇者「ゴールドがちょっとだけか。シケてるな~」

勇者が軽く魔物の懐を漁ると、それきり魔物を一瞥もせず、三人は歩き始めた。

僧侶「…。」

荷物を背負いなおし、魔物に向けて十字を切る。

尤も、我々の神が彼らにとって救いとなるのかはわからないが。

ため息を一つつくと、もう大分先を進んでいる三人に追いつけるよう早足で歩き始めた。

.



12 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:09:47 ID:kF4YZqcE

―――【洞窟入口】―――


勇者「それじゃ、ここもぱっぱと攻略といきますか」

女戦士「えいえいおー!」

着いた町で得た情報から、

この洞窟に封印された強力な武器があるとききつけ、攻略する運びとなった。

僧侶「ほら、松明。全員に渡しておくから」

荷物の中から松明を取り出し手渡す。アイテムの管理も手馴れたものだった。

勇者がいつの間にか覚えた発火呪文で火を灯す。女戦士の松明にも分けてやっているようだった。

僧侶「はい、女魔法使いにも」



13 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:10:45 ID:kF4YZqcE

女魔法使い「ありがとう…あっ」

松明を渡す指先が軽く触れ合う。思わず手を離し、目をそらしてしまう。

女魔法使い「ご、ごめんねっ…ちょっと、びっくりしちゃって」

僧侶「あ、ううん、こっちこそごめん」

女魔法使いのほうを見ると、触れた指先をもう片方の手で撫でていた。

頬に少し赤みをさし、大きな瞳は少し伏し目に。

つい、見惚れてしまう。

彼女がゆっくりと目線を上げ、目と目が合う。何か言わねばと口を開こうと――

勇者「おーい、はやくこいよ!置いて行くぞ!」

女魔法使い「あ、は、はいっ!今行きますっ!」

踵を返し、洞窟の中へと小走りで消えていってしまった。

触れ合った指先をながめる。彼女はずっと、憧れの人だった。



14 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:11:50 ID:kF4YZqcE

―――思―――

勇者とは同い年だ。女戦士がその一つ下で、女魔法使いが一つ上。

年長者だったからか、女魔法使いは年下の三人の面倒を良く見てくれていた。

親達も彼女に遊び盛りの子供を世話してもらえて助かったのだろう。

お礼にと夕餉に招待されては、他三人もくっついていった。

そんな姉のような存在だった彼女だったが、

いつしかそれだけではない、特別な感情を持つようになっていた。

勇者にいつも女戦士がくっついていたからか。ふたりで魔法の勉強をする機会が多かったからか。

理由がなんだったのかはもう思い出せないが、

そのときは――勇者は女戦士を、自分は女魔法使いを守っていくんじゃないかと。

本当になんとなく、そうなってほしいと願っていた。

―――考―――



16 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:12:28 ID:kF4YZqcE

―――【洞窟深部】―――


勇者「大分深く潜ってきたなーっと、なんだこれ」

攻略を開始してから暫く経ったとき、

それまでの朽ちかけていた坑道から真新しい石壁が現れた。扉が左右に二つ付いている。

女魔法使い「これは…魔力で保存されていたみたいね。何かしら仕掛けがあるのかも」

女戦士「あっほらここ!何か書いてあるよ!」

僧侶(…嫌な予感しかしない)

勇者「えーと何々…この先に進みたくば各々の道を進み試練を受けよ、かぁ」

女戦士「そんな…二手に分かれて進まないといけないの?」

女魔法使い「そうみたいね。ほら、片方だけ開けようとしても開かないわ。
        同時に進まないといけないみたい」

勇者「不安ではあるけど二手に分かれよう。
    武器を手に入れる為とはいえ、立ち止まる時間は少しでも惜しい」

僧侶「…そうだね」



17 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:13:24 ID:kF4YZqcE

勇者「じゃあここでどう分けるか。
    戦力が二つに分ける以上、どんな事態にも対応できるようにしておきたいと思う」

   「とりあえず男二人で分かれよう。
    どんな仕掛けがあるかわからないが、俺とお前なら不安は無い」

   「女戦士は武器を新調したばかりだし、レベルも低いことから俺と一緒に行動しよう」

   「女魔法使いはこちらのパーティでサポートをしてくれ。前衛二人じゃ魔法攻撃が心もとない」

   「この編成で行こうと思う。異論は無いな?」

女戦士「はーいっ!さんせーい!」

女魔法使い「あっ、あのね…」

僧侶「いいよ、それで」

遮るように言う。でも、と女魔法使いが言う前に勇者が立ち上がった。

勇者「よし、決まりだな」

女魔法使いは困った顔でこちらを見ていた。目が合ったので、軽く笑顔で返す。

僧侶(大丈夫、いつものことさ)



18 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:13:52 ID:kF4YZqcE

勇者「それじゃあ、進もうぜ」

女戦士「僧侶もがんばってねっ」

勇者はもう取っ手に手をかけていた。こちらも腰を上げ、扉の前に立つ。

重い取っ手に力を込め扉をひらく。開いた扉越しに心配そうな女魔法使いを見送って、中へと入る。

僧侶「いつものこと、か」

背後で扉が閉じる。誰に言うでもなく呟き、カビ臭い通路を歩き始めた。

―――



19 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:14:55 ID:kF4YZqcE

慎重に、仕掛けられた罠を解除しながら進む。

建造物の封印は健在で、どうやら魔物の気配は無いようだ。

代わりに罠がこれでもかと張り巡らされてはいたが、

『選ばれし者』を試す試練ならばそれほどの危険はないだろう。

僧侶「こう、かなっと」

うんざりしながら悪趣味なパズルを解くと、少し開けた場所に出た。

と、そこにぼんやりと光る一角獣が佇んでいる。

僧侶「…幻獣、か。試練は君と戦って勝つこと、かな?」

幻獣「その通りだ人の子よ…よくぞここまで辿り着いた。この先の武具を欲するならば私と…」

仰々しく振り返りながらそこまで言って、ぴたりと動きが止まった。

幻獣「――え?ひとり?」

僧侶「あ、はい」

幻獣「え、入ってくるとき四人だったよね?普通2:2で分かれない?」

さっきまでの厳めしい声色とはうってかわり、明らかに狼狽している。

僧侶「そりゃまぁそうなんだろうけど」

こっちだって好きで一人で来ているんじゃない。

僧侶「まぁ、いつものことですから」



20 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:15:43 ID:kF4YZqcE

幻獣「い、いやそりゃ困るよ。こっちとしてもさ、二人相手の試練を準備してたんだしさ」

   「大体おかしいでしょ!君みたところ僧侶だよね!?
    バランス考えても前衛1後衛1で振り分けるって!!」

僧侶「そう思うんですけどねぇ。扉には入れてしまいましたし」

幻獣「ああもうどうすんのこれ。こんなアドリブなんて契約内容に含まれてないっつーの」

たてがみをふりながら呻きこんでしまった。ぶつぶつと何かを呟き、唐突にこちらを振り返る。

幻獣「…まぁいいでしょう。契約内容に記された事だけ履行しますよ。役割ですからね」

僧侶「あ、はい」



21 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:16:27 ID:kF4YZqcE

幻獣「ゴホン。では…――この先の武具を欲するならば、私と戦い、その力を示せ!」

弛緩していた空気が一気に張り詰め、幻獣のプレッシャーを感じる。杖を握る手が汗ばむ。

幻獣「この程度で怖気づいたのですか…?あちらの道にいる幻獣は、私ほど優しくはありませんよ…!」

僧侶「…。」

幻獣「フフフ・・・彼の炎の巨人イフリート。
    今頃貴方の仲間たちは、地獄の業火に焼かれ苦しんでいることでしょう!」

僧侶「まぁ、あっちには勇者がいるし問題ないとは思うけど…」

幻獣「――あちらの様子を見てもそう言ってられますかね?」

幻獣が頭を振り、角から光を発すると、部屋の壁にもやもやと何かが映り始めた…!

途端に嫌な汗が背中を落ちる。もしあちらが先に攻略を終わらせていたなら――

僧侶「あ、やめてくださいマジで。見たくないっす」

幻獣「仲間の苦しむ姿から目を逸らすなッ!!
    さぁこの映像を見て覚g『…ぁんっ…ぅあっ…ああーっ(パンパンパンパンパン

幻獣「」

僧侶「」

洞窟の壁一面に、勇者と女魔法使いの痴態が映し出された。

―――



22 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:17:12 ID:kF4YZqcE


『だめっ……そんな…んぁっ…僧侶くんが、来ちゃうっ…あっ』

『大丈夫だって…あいつにここがそんなに早く攻略できるとは思えねーし』パンパンパン

『ぅあっあっ…そんな、こと、ないッ…あうぅっ!あんっ!』

『それなら尚更早く終わらせないとさ。
 女戦士も後に控えてるんだし。…急がないと見られちゃうかもよ』パンパンパンパン

『ゃだっ…あっ…ぁんっあっあっあっ』

『お、急に締まったね。やっぱり見てもらいたいんじゃない?僧侶にさ…』パンパンパンパン

『~~~~~っ!んぁっ…あーっ!あぁーっ!』ビクンビクン

『変態だね女魔法使いは。僧侶がこんな姿を見たらどう思うかな?
 チンポを突っ込まれてヒィヒィよがってる姿をさ』パンパンパン

僧侶「」



23 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:17:53 ID:kF4YZqcE

『~~ッ…いじわるっ…しない、でっ…ぁんっ』

『っとそろそろ俺も…ほらイけ!膣内に思いっきり射精すからな!』パンパンパンパンパンパンパンッ!!

『…うぁっ…ぁあーっ!あーーーっ!』ビュルルル!ビクンビクン

幻獣「」

『ふぅーっ…でたでた。んじゃ女戦士、おいで。』ヌポッ

『やっとアタシの番だね…ふふっ待ちきれなかったんだからぁ…』ツプ…

アッ ソンナイキナリッ ウゥッ シマル アッ アンッ パンパンパンパン



24 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:18:40 ID:kF4YZqcE

僧侶「…もういいでしょ」

幻獣「あ、はい」

壁面から光が消えさり洞窟内に静寂が戻る。幻獣は気まずそうに蹄で地面をひっかいていた。

幻獣「……えーと、なんていうかその」

幻獣「ま、まぁ人間にはよくあることだっていうしさ!
    優秀なオスが沢山の子を…って君が優秀じゃないとかそうじゃなくて」

幻獣「えっと、その、あの

   …ごめん」

僧侶「……いつものこと、ですから」

『いつものこと』に、なってしまった。ずっと憧れていて、守ろうと思っていた人は、自分以外の――

――…一番の親友だと思っていた男に、抱かれている。

勇者が、ただ自分の欲望の捌け口にしているわけではないだろう。

そんな奴じゃないってことは痛いほどわかってる。

女魔法使いの方から、勇者にすり寄ったのかもしれない。

先の見えない旅道中、

いつも姉のような振る舞いをしてきた彼女には寄る辺が必要だったのかもしれない。

どちらにせよ、気が付いたときにはそんな関係になってしまっていた。



25 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:19:33 ID:kF4YZqcE

僧侶「…続きを」

幻獣「えっ」

僧侶「試練の、続きを」

幻獣「あっはいはいはい試練ですよねーそれじゃいきますねー」

幻獣はバツが悪そうに蹄を二度三度打ち鳴らし、頭をふってこちらに向き直ると――

――嘶き、猛った。額の一角に帯電し、幻獣の纏う空気が膨張する。

幻獣「…手加減をしたい気持ちもありますが、失礼でしょうから」

守護呪文を唱えながら、それとなく頷き、応える。

向こうの幻獣がどうだったかはもうわからないが、こっちのは確かに優しいらしかった。

―――



27 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:20:20 ID:kF4YZqcE


僧侶「――ぜっ…はぁっ…はぁっ…」

幻獣「…よくぞ成し遂げた人の子よ。そなたらになら、武具を手にする資格は充分にあると言えよう」

僧侶「…そりゃ、どうも…」

幻獣「世界の命運をそなたらに託そう。遥か幻獣界から、見守っておるぞ・・・」

倒れた一角獣の体が、光の粒へと変わっていく。

幻獣「…それと、個人的な話ではありますが」

僧侶「?」

幻獣「元気だしてくださいね?」

僧侶「…。」

励ましなのか同情なのかわからない言葉を残して、幻獣は還った。



28 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:21:14 ID:kF4YZqcE

とりあえずは息を整え、雷撃で爛れた傷の治療をすることにした。

僧侶「いってぇー…失礼でもなんでもいいから手加減してくれよ」

一人愚痴る。

荷物の分配を忘れたことに気づいたときは血の気がひいたが、

おかげでアイテムをふんだんに使うことができた。

…意図せず勇者側の無事もわかったこともあるが。

僧侶「あー薬草も聖水ももう打ち止めか。補充しとかないとな」

映像の事はあまり考えないようにした。

知っていたこととはいえ、目の前に突きつけられるのは少々キツい。

僧侶「よしっ、とりあえずこれで動けるな。
    まだ先にボスとかいるかもしれないけど、合流すればなんとかなるっしょー」

空元気をだしてみた。暗い洞窟に響いた自分の声が、空しかった。

.



29 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:22:21 ID:kF4YZqcE

―――【合流地点】―――


僧侶(そろそろかな。)

合流地点の扉についたところで、扉の向こうに荒い息遣いを聞いてしまった。

耳をふさぎながらの荷物整理が終わったところで、扉の向こうが静かになったことに気づいた。

取っ手を掴み、必要以上に重そうに、ゆっくりと開ける。

…少し開けても慌てる様子が無いことから、このまま開けきってよさそうだ。

勇者「おう、遅いぞ僧侶。待ちくたびれちまったぜ」

僧侶「ごめん、てこずっちゃってさ。そっちもみんな無事みたいで何よりだよ」

勇者「あんまり遅いもんだからヒヤヒヤしたぜ。女魔法使いなんかずっと心配してたんだからな」

女魔法使い「ちょ、ちょっと勇者!」

何も知らなければ心配してくれた事を喜んでいただろう。

僧侶「ははは」

女魔法使い「もうっ…僧侶くんも来たんだし、先に進みましょうっ」



30 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:23:13 ID:kF4YZqcE

勇者「はいはいーっと。女戦士、行くぞ」

女戦士「んにゃぁ…らめぇ、たてないぃ~…。勇者だっこしてぇ…」

ろれつが回っていない。魔物がいないことがわかってるとはいえ腰抜かすまでヤるかね普通。

女魔法使い「こっこれはねっ!えっと試練の幻獣が麻痺攻撃してきて!
        治療したけどちょーっと残っちゃったみたいで!」

勇者「しょうがねーなぁ、ほれ。おぶされ」

僧侶「ははは」

勇者が女戦士を背負い、隣に女魔法使いがついて歩く。

ぼそぼそと二人でなにやら話しているらしかった。

女魔法使いも麻痺をくらったのか、足どりがおぼつかなかった。



その日の宿で齧ったパンは、なんだか味が薄かった。

.



31 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:24:21 ID:kF4YZqcE

―――【荒廃した村】―――


あれからいくつかの城、町、村を周った。

情報を得ながらの手探りの旅だが、

魔王軍の拠点の数、出没する魔物の強さから、魔王の棲み処に近づいている事を感じていた。

――そんな最中訪れたとある村は、酷く荒廃していた。

踏み荒らされた畑、焼け落ちた建物。

壊されたバリケードをくぐって村へ入ると、埋葬すらできずに並べられたままの遺骸。

女戦士「酷い…こんなのってないよ…!」

故郷の国が嫌でも思い出される。

村の中心部にある教会に生き残った村人達が立て篭もっていた。

話を聞いて回ると、

つい最近になって近くに魔王軍の拠点が作られたらしく、その攻撃に晒されるようになったらしい。



32 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:25:20 ID:kF4YZqcE

勇者「行くぞ。いますぐにでも連中の息の根をとめてやるッ!」

勇者が今にも走り出さん勢いで言う。自分とて、こんな村の状況を見て看過できるはずがない。

だが、ここまでの山越えで体力を消耗していたし、物資にも乏しかった。

僧侶「ちょい待ち、勇者。今は皆疲労が溜まっているし、一旦ここで休ませてもらってから――」

言った後で後悔しても遅いが、次の言葉の前に胸倉を掴まれた。どうやら地雷を踏んでしまったらしい。

勇者「いつ魔物が攻めてくるかもしれないんだぞ!?そんな悠長な真似はできない!」

僧侶「ぐっ…気持ちはわかる。わかるけど状況を見てよ。こんな状態じゃ下手したらこっちも…」

勇者「…気持ちがわかるってのか!お前なんかに!!ふざけるな、俺たちがいままでなんのために――」

僧侶「勇者。」

精一杯勇者の目を見据える。

勇者は完全に頭に血が上ってしまっている。慎重に、言葉を選びながら問いかける。



33 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:25:50 ID:kF4YZqcE

僧侶「気持ちならわかる。わかるさ。…何年この四人で過ごしてきたと思ってるんだ。

   平和な村がこんな目に遭わされて何も思わないはずがない。魔物を憎む心だって同様だ」

勇者は黙って聞いている。まだ肩で息をしてはいるが、少しは落ち着いてくれたようだ。

僧侶「普段の勇者なら例え一人でも攻略できると思う。

    だけど、消耗しているのは勇者、君だって同じだ。

    もしすぐに魔物が攻めてくるとしても、村に滞在するなら防衛だってできる。

    明日までに準備を整えよう。体調、装備を整えた上で、なるべく迅速に攻略するんだ。」

勇者「…。」

掴んでいた手が離される。無言のまま睨みあうこと数秒。

勇者「明日の"早朝"だ。それ以上は待てねぇぞ。

   …少し外で風にあたってくる」

吐き捨てると、教会の外へと出る。少し間を開けて女戦士が後を追う。

ゆっくりと、聞こえないよう息を吐く。



34 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:26:21 ID:kF4YZqcE

女魔法使い「思いとどまってくれたね」

僧侶「うん…気持ちは、本当に痛いほどわかるんだけどね」

お前なんかに、か。いつ言われてもおかしくないとは思っていたけど、実際に言われるのは心が痛む。

女魔法使い「…勇者のこと、嫌いにならないであげてね」

寂しそうに笑って、女魔法使いも勇者の後を小走りで追っていった。

僧侶「…。」

…彼女の方こそ何もわかっていない。勇者のことを嫌いになるわけなんかない。

勇者の正義感から来る激昂は慣れたものだし、その姿勢は好意的に受け取っている。

でも、だからこそ、だ。

.



35 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:26:47 ID:kF4YZqcE

―――回―――

――…なんでお前が泣くんだよ。

  お前の家族はみんな無事だったんだろ?いいじゃんか。

  …平気なわけないさ。でも、父さんも母さんも、おれを守るために戦って死んだ。

  だから、泣いたりなんかしない。

  お前も、女戦士も、女魔法使いだって傍にいてくれるんだから。

  だから、決めた。おれは、魔王を絶対に倒すって――

―――想―――



36 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:27:28 ID:kF4YZqcE

―――【魔物の拠点】―――


拠点の制圧は順調に進んでいた。

義憤に燃える勇者の力は凄まじいものだったし、女戦士も女魔法使いも気力に満ち溢れていた。

ついていくのがやっとな状態ではあったが、勇者が魔物を蹴散す様に安堵を覚えていた。

昨日の様子から戦力に影響がでるのではと心配だったが、杞憂だったらしい。

女戦士「―――っ勇者!後ろ!」

死角から繰り出された槍が勇者の肩をかすめる。

勇者「…!」

振り返りざまに槍ごと魔物を両断。続けて、女魔法使いの呪文が辺り一帯を薙ぎ払う。

――安心したと思ったらこれか!回復呪文をかけようと走り寄る。

僧侶「勇者!今回復を――」

勇者「必要ねぇよ」

待たずに、自分で肩の傷を治療していた。

勇者「中心部は目の前だ。うかうかしてたら村の方に手が伸びるかもしれねえ。急ぐぞ」



37 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:28:13 ID:kF4YZqcE

…あーそうだった。拗ねるんだわこいつ。

今はとやかく言ってもしょうがない。

拠点を潰して、村でささやかな宴でも開けば、機嫌も直るだろう。



勇者「この下、か」

拠点の中心には、石造りの禍々しい祭壇と、地下へと続く階段があった。

それらしい魔物が見つかっていないことや、

魔物の士気が下がっていない様子から、この中にボスが潜んでいると考えられる。

女魔法使い「…罠の可能性もあるわね」

女戦士「かのうせい、じゃなくて100%だと思うよ~」

軽い調子で女戦士が続ける。珍しく同意見だ。そして――

勇者「それでも、行くさ。でなきゃあの村は破滅する」

――勇者がこう言うであろうことも、わかっていた。勇者に軽く睨まれて、肩をすくめてみせる。

僧侶「止めやしないさ。行こう、勇者」

頷くこともせずに階段を降りていってしまったが、もう言わなくてもわかっていることなんだろう。



38 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:29:18 ID:kF4YZqcE

―――【拠点地下】―――


一方的な虐殺だった。

狭い通路のせいで、魔物は数で押せなくなっていた。

挟撃される形ではあったが、勇者が相手ではまるで意味を成さなかった。

むせ返るような血の臭いが、あたりに漂う。

破れかぶれの突撃か? 魔物の血に毒素でも含まれているのだろうか?

万一の事を考え、聖水で通路を清めながら進む。と、あれだけいた魔物の攻撃がぴたりと止んだ。

勇者「…何かの布石か?」

女戦士「みんな、倒しちゃったんじゃない?」

女魔法使い「いまのところ、魔力による罠の気配はないわ」

僧侶「…後ろも――」

言いかけて、固まる。今まで進んできた通路が、周りの壁と変わらない石壁で塗りつぶされていた。

僧侶「なっ――!?」



39 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:29:56 ID:kF4YZqcE

勇者「どうし――なんだよ、これ」

女戦士「えっ?!なになにこれ、さっきまで通路だったよね?!」

女魔法使い「そんなっ…魔力は全く感じなかったのに」

動揺。ついさっきまで後ろから襲い掛かる魔物の相手をしていた。

目を離したのはほんの一瞬。なのに。

勇者「みんな、下がってくれ……うらあッ!!」

言われるままに壁から離れる。

勇者は剣を構え、渾身の一撃を放つ。壁には深い裂け目が刻まれた。

が。

勇者「!」

すぐに元の通りに塞がってしまった。

女戦士も加わって連続で斬りつけても、女魔法使いの呪文でも、結果は同じだった。

床や天井、通路の壁面も同様。回復呪文で傷を治すように、傷の周囲からじりじりと再生してしまう。



40 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:30:54 ID:kF4YZqcE

勇者「なんだかわからんが、えらく厄介な仕掛けみたいだな」

女魔法使い「そうね…こんなタイプは経験もないし、魔力を感じないのにこんなに強力な封印なんて…」

似たような罠は経験していた。

器械仕掛け、魔物の擬態、幻覚呪文等。どれも『選ばれし者』の力の前には無意味だった。

例外的に幻獣等による強力な魔力での封印はあったが、その場合は事前に女魔法使いが察知できていた。

…頭を抱えたくなる。ただでさえ狭い通路なのに、退路を塞がれたとあっては。

女戦士「ねぇ、悩んでもしょうがないんだし…前に進んでみない?」

おずおずと、女戦士が提案する。

勇者「…そうだな。ボスを倒せば通れるようになるか、ただの石壁にもどるかもしれん。

   この先に更に罠があるかもしれんが、進むほかに手立ては無いしな」

できれば退路を確保しておきたかったが仕方が無い。

こうして足止めをくらっている間にも、村が危険に晒されているかもしれない。

女魔法使いも同意し、先に進むことにした。耳鳴りがするほど静かな行軍だった。

―――



41 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:31:37 ID:kF4YZqcE


一時間ほど進んでみたが、一向に景色が変わることはなかった。

それどころか、この通路はどこまで進んでも直線で、

地上ならば山を一つ越えるほどの距離を歩いていることになる。

勇者「くそっ!どうなってんだこれ!」

勇者が苛立つのも仕方が無い。女戦士に普段の快活さは見当たらず、ただ無言で歩いている。

女魔法使いとは罠について考察を重ねていたが、どれもピンとこず、いつの間にか黙ってしまっていた。

勇者「おい、僧侶!後ろは見ているだろうな!
    術をかけた魔物が付かず離れずでついてきているかもしれん」

振り返り、目を凝らしてみる。松明の明かりの先には黒しか見えていない。

言われずとも、先ほどからかなり小まめに後方は確認している。

進んできた通路の空間がひろがってる――

はず、なのだが。違和感。



42 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:32:26 ID:kF4YZqcE

僧侶「…。」

無言で踵を返し、歩き出す。まさか、気のせいであってくれ。

十数歩進んだところで、足を止める。驚いて追いかけてきた足音も、ピタリと止んだ。

勇者「うそだろ、おい」

女魔法使い「そんな…っ」

女戦士「なんで、また」

壁が、あるはずの黒を塗りつぶしていた。

.



43 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:32:49 ID:kF4YZqcE

―――回―――

――よう、また来てるんだな。

  お前もあきもせずよく来るよなー。退屈でしょうがないよ、教会なんて。

  …え?おれ?

  べつに、神父になりたいなんて思わないけどさ。

  ほら、戦士が回復呪文を使えたら…サイキョーじゃね?

  あっ!笑っただろ!いまにみてろよ、すっごい呪文覚えてやるんだからな――

―――想―――



44 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:33:28 ID:kF4YZqcE


女戦士のすすり泣く声が暗闇に響く。

勇者がなだめてはいるが、その顔にも不安と焦燥の色が見て取れる。

女魔法使い「…壁を調べてみましょう、僧侶くん。この状況をなんとかしないと」

頷いて応える。元より頭脳労働は後衛の務めだ。とりあえず、思いついた方法を試していく。



45 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:33:51 ID:kF4YZqcE

①、壁を睨んだまま後ろ歩きをする。
  結果、持っている松明の光が壁に届かなくなった時点で、壁の位置は前進していた。

②、松明を壁の付近に設置し、壁が明かりで見えている状態で①。
  結果、かなりの距離を進めたが、松明の燃料が切れた瞬間、壁は前進。燃料の切れた松明は消滅。

③、②で充分な距離をとった状態で、壁が見えているうちに全員が通路の先を向く。
  結果、①と同等の距離まで壁は前進し、付近に設置した松明は消滅。

僧侶(…四人まとまって行動していたのは正解だった。
    松明のように消滅していたらと思うとゾッとしない。

   壁が動く条件は…
   
   『通路の暗さで壁が見えなくなると見えないままギリギリの位置まで前進してくる』ってとこか。

   壁を見る人数を変えてみても、一人でも壁を見れていれば壁は動かない)

僧侶(壁が"見えている"状態なら先に進めるみたいだけど…

   ②で進んだ距離も拠点の外に出るほどだし、松明を全部消費してまで試すのは怖いな)



46 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:34:40 ID:kF4YZqcE

女魔法使い「…これも、試さなければならないわね」

取り出したのは、斑蜘蛛糸。洞窟から脱出する為のアイテムだが、もしこれが使えないとなれば――

――意識的に避けていた。

心のどこかで、攻略を諦めさえすれば体勢を立て直すことができると思っていた。

結果。糸はどこにも反応することがなく、ただ垂れ下がるのみ。

続けて、女魔法使いが唱えた脱出呪文も無効。

女魔法使い「――これじゃ魔物のボスを倒すどころか、ここから出られないかもしれない」

顔が青ざめている。無理もない。出られなければ即ち――



47 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:35:40 ID:kF4YZqcE

女戦士「やだっ!!しにたくないっ!!」

ごく小声で呟いただけだったが、女戦士にも聞こえてしまったようだ。

勇者もなんと声をかけていいのかわからない様子だ。

女戦士「しにたくないっ…しにたくないよぉ…」

嗚咽だけが静寂に響く。女魔法使いも爪を噛みながら必死に思考しているようだが、顔は浮かない。

僧侶「…。」

まだ、試していない方法がある。女魔法使いも、勇者も気付いていないはずがない。

成功の保障なんてないし、事態が悪化するだけかもしれないけれど、

これは自分から言い出さないと絶対に実行できない。

――やるしか、ないんだよなぁ。



僧侶「この旅の、目的はさ」



48 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:37:10 ID:kF4YZqcE

ほの暗い通路で、全員の目がこちらを見る。

僧侶「魔王を倒すことじゃない?

   でもそれってさ、きっと勇者の力じゃないと達成できない」

勇者「…何を」

僧侶「逆に言えば、勇者さえ生きていれば魔王はかならず倒せる」

  「他の三人はそれを全力でサポートする役割。立ち回り」

  「それが、その身を犠牲にすることでも「――僧侶っ!!」

勇者が大声で遮る。女魔法使いと女戦士は、ただこちらを見ている。

…その厚かましさが羨ましい。

僧侶「④、一人を壁の前に置き、壁をずっと見続ける。他三人は前進する。」

―――



49 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:37:59 ID:kF4YZqcE

壁は、人に"見えている"間はそこにある。では、そこに誰かが居座り続けたらどうなるか?

僧侶「説明を始める前に、試しておきたいことがあるんだ。

   勇者、奥の通路に向けて火矢を一本撃ってみて」

壁、天井、床はいくら調べたところで壊せない事くらいしかわからなかった。

残すは目の前の暗闇について。

言われるままに勇者が火矢をつがえる。

狭い通路とはいえ、勇者の腕前があれば相当先まで見通せるはずだが――

勇者「――今の、明らかに10mも飛ばずに消えたよな」

少しだけ頭の中を整理する。少し間をあけたところで、話し始めた。

僧侶「②の方法で前進することはできたけど、

    今まで進んできた距離を考えるとこの方法で脱出できるかはかなり怪しい。

    今火矢で試したことでわかるように、通路の空間それ自体にも仕掛けがあるみたいだ。」

   「進んだという認識が狂わされているのか、空間を歪められているのか。

    何にせよどんな仕組みでこの罠が作用しているか考えても情報不足で埒が明かない。」

   「…だから、この罠がそもそも何の為にあるのか考えてみたんだ」

   「当然仕掛けたのは魔物。

    目的は『選ばれし者』の足止め、あわよくば消滅。もしくは"戦力を削ること"」



51 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:38:49 ID:kF4YZqcE

女戦士「あわよくばって、普通一気に倒しちゃうんじゃない?」

僧侶「実際に罠にはかかったけど、まだ生きているでしょ?」

   「想像でしかないけれど
   
    『選ばれし者』を間接的方法で消滅させるだけの力は魔王軍には無いんじゃないかな。

    勇者が今まで無事でいられたことくらいしか証明にならないけど」

僧侶「なら、この罠は目的は?

    ――嫌な言い方だけど、足止めをしてまであの村を滅ぼす事に意味は無い」

勇者「"戦力を削ること"が目的ってことか」

僧侶「魔物の拠点ができた時期が丁度あの村を訪れる時期と重なっているしね。

    どこかで魔物に尾行されていたのかもしれない。」

   「で、もう一つ。この罠、実はかなり無理をして作られているんじゃないかな」



52 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:39:36 ID:kF4YZqcE

女魔法使い「…制約や制限があるってこと?」

僧侶「うん。魔法の話になるんだけど、普段は魔力を代償に火炎や冷気を召還しているわけじゃない?

    幻獣は魔力の代償と、動ける範囲、役割を縛ることで強力な存在となっている」

僧侶「で。繰り返しになるけど『選ばれし者』を魔力の代償だけで消滅させるのは不可能だ。

    そこで『強力な封印を施す代わりに、ある条件を満たすと脱出できる』という制約を課す。」



53 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:40:05 ID:kF4YZqcE

僧侶「『条件を満たすと脱出できる』の部分は言い換えれば『条件を満たさない限り脱出できない』。

    壁、床、天井がやたら頑丈なのはそのせいだ。『選ばれし者』の勇者ですら封印できている」

   「予想される条件は『ある人物が壁を認識している状態』で『壁を認識せずに前進する』。

    進む距離は火矢が見えなくなったあたりまでが妥当かな」

   「この条件だけだと②で脱出できているはずだ。

    それができなかったのは、

    脱出の条件を満たす者とそうでない者が互いを"認識"したままだったからじゃないかな。

    現れた壁が動く条件に、人の"認識"が関わってると予想されるしね」

   「そうして現れる『壁を認識している間は先に進むことができる』という状況。

    恐らくこれは、ヒントに近いもの」

   「一見脱出不能な致命的な罠。そこでヒントをちらつかせ、わざと条件を満たさせる…」



54 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:40:31 ID:kF4YZqcE

一旦言葉を切る。揺らめく松明の明かりの中、それぞれが思考を巡らせているのが見て取れた。

勇者「…条件を満たせば脱出できそうなのはわかった。だが、この場に残った一人はどうなる?」

僧侶「今言った条件が全て正しいなら、三人が脱出に成功した時点で、封印も解除される」

女戦士「――だったらっ「でも」

言葉を遮って続ける。

僧侶「今回の不安要素は、用いられた術式と、その代償の大きさなんだ」

―――



55 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:41:12 ID:kF4YZqcE

教会には病魔に蝕まれた患者がやってくる。

大抵は毒や麻痺が原因だったが、中には装備品によって『呪われた』者も居た。

昏睡する者。正気を保てない者。常軌を逸した力で暴れまわる者。

解呪の法は唯一つ。解呪の代償をひたすら『呪い』に喰わせること。

聖水で済めばかなり良い方だ。

酷い事例だと、捧げた供物に飽き足らず、

解呪にあたっていた神父の腕を食いちぎってやっと収まった、という話もある。

僧侶「『呪いとは魔法とは異なる術式だ。

    魔法が魔力を代償に行使するものなら、呪いは代償に血と魂を欲する』

    『人の子の間では決して伝承されることはない。

     なぜなら、術者本人が代償となるケースが大半を占めているからだ』

    『他人を代償に呪いを行使しようと試みた者もいたが、

     呼び起こした呪いにその身を喰らわれ、毛の一本すら残ることはなかった』」

僧侶「教会で学んだのはこの程度。

    呪いはその性質から人間は完全には行使できないと言われているんだけど」

勇者「魔物、いや魔王ならその可能性があるってことか」

僧侶「『呪い』の行使の条件が、血と魂の服従だとしたら。

    ここに来るまでに倒した魔物、その全てが魔王の文字通りの同胞だとしたら。

    ―――その血と魂を代償にしていたとしたなら。

    罠に、魔力で気づけなかったのにも納得が行く」



56 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:42:06 ID:kF4YZqcE

女戦士「…残った人が、どうなるのかの説明になってないよ」

消え入りそうな声で女戦士が言う。

僧侶「…骨董品のような装備が"呪われている"ことがあるように、

    『呪い』は術者が消滅しようがそこに刻まれたままだ。

    この場合は条件が永遠に満たせぬまま、呪いがこの地の維持で磨り消えるのをただ待つことに」

女魔法使い「そんなのっ!…そんなの、嫌だよ…」

僧侶「……。」

勇者「僧侶ッ…本当に他に方法は無いのかよっ!」

ああ、本当に。

僧侶「いまのところ。今立てた仮説によほどの穴が無ければ」

本当にさ、結局のところ。

勇者「――…四人でっ…四人で魔王を倒すんじゃなかったのかよっ!!」



57 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:42:31 ID:kF4YZqcE

―――思―――

――眩暈がする。体温が下がる。瞳孔が開く。吐き気がする衝動に駆られる刈られたい。どの口が

言うのか。今すぐにでも臓腑の底から糞のような罵詈雑言を吐きかけたい。ぐっと堪えた。口を真

一文字に閉じた。少しでも開くと、勝手に言葉が飛び出る気がした。「わたしが、残るよ」「ダメ

だよっ!…ま だ、みんなで考えよう?絶対方法が何かあるって!」「――そうだっ俺たちがコン

ナところデ、バラバラ『耳鳴りがする。サッキよりも酷い吐き気だ。咽喉まで汚物が込み上げる。嗚
呼ぁなんでそんなになんで昨日までの####をカガ身に映してサシあげたい手が震える。サッキから
なんで一言もイっていないのに一字一句間違えずに提案したのに結局のところ。####は##を何もイ
っていないのにそうだよな####は何でもワカる/ワカッてしまう結局のところ。###は今も####のま
ま####したのは誰だったのか何で##じゃなく何で何で何で###何か我/そうだよね。そうなるんだ。
そうなんだ よ 。そ う な ん だ ろ う ソ ウ だ ろ う が『そういえよ。そうなんだろ』

   結 局 の と こ ろ 。最 終 的 に は 。詰 ま る と こ ろ 。積 ま る と こ ろ 。

世界で最も敬愛するシン友達は、イ ツ モ ド オ リ ニ 、其の腫れ物を切り捨て病を治しました。

―――垢―――



58 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:43:58 ID:kF4YZqcE

僧侶「…落ち着いてよ、みんな」

吐き出すべきじゃない。嘔吐したところで、吐瀉物以上に価値が無い。

僧侶「人の話はちゃんと聞いてほしいな。あくまで"不安要素"だ」

深呼吸を一つ、二つ。いつも通り、だ。

僧侶「まず一点。代償がとても大きいとは言ったけど、

    その代償がどこで用いられたのか明確ではないこと」

   「『選ばれし者』条件付きとはいえ封印する。

    この時点で代償の大部分を消耗している可能性だってある」

   「持ち込んだ回復アイテムをフルで使い切れば、すぐにでも封印はとけるかもしれない」

僧侶「二点目。呪いの術式に関してはちょっとした知識がある。教会にお世話になっていたころに、

    神父さんの目を盗んで禁書棚を覗き見たことがあってね、ははは」

真っ赤な嘘である。あの堅物神父が神学生の目に付く場所に保管するはずがない。



59 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:44:33 ID:kF4YZqcE

僧侶「そんなわけでこの場にいる誰よりも呪いに関する知識量は多いはずだ」

   「それに――」

自分からそんなこと一言も言った覚えはないが。

   「みんなの戦力になれないからって残るんじゃない。戦力を二つに分けるんだよ、勇者。

    ここから三人が外に出れたとしたらまず拠点のボスを倒さなきゃならない。

    拠点に攻め込んでからかなりの時間が経っているから村のほうも心配だ。

    かといって、ここの封印も強力なものだ。まず男二人で分かれよう。

    どんな魔物だろうが、勇者、君なら任せられる。

    次に女戦士。精神的にも疲弊してしまっていることだから、勇者に面倒をみてもらいなさい。

    そして女魔法使い。二人だけじゃ心配だ。その魔力で、二人のサポートに回ってもらいたい。

    最後に――

勇者「僧侶、お前は全力で解呪にあたってくれ。――そうだろう?」

僧侶「そうだよ、そのとおりだよ勇者。ははは」

―――



60 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:45:21 ID:kF4YZqcE


準備にそれほど時間はかからなかった。

解呪に備え多量のアイテムが欲しいところではあった。

が、仮説が間違っていたときや更なる罠が仕掛けられていた場合に備え、持ってきた物資を四分割する。

封印の外に出る三人が戦闘準備を整えたところで、声をかける。

僧侶「それじゃ、確認するよ」

自分は壁を見続けてこの場に居座る。残りの三人は、全員がこちらを見ないようにして前進する。

壁を見続けるのはおよそ五時間。これは、この封印の中に更に条件付けがされていた場合への保険。

封印から脱出できたら、まずは拠点の制圧。然る後、村へ向かい安全を確保する。

こちらは五時間が経過した時点から解呪を開始。

今ある食料の量から見て、一週間もてばいいほうだろう。



61 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:46:19 ID:kF4YZqcE

僧侶「そういうわけで、あの村で一週間だけ待ってほしい。それ以上戻ってこなかったら――

    ――三人だけで、旅を続けてほしい」

   「この旅の目的は魔王を倒すことだ。

    一刻も早く世界に平和が訪れて欲しい。それは四人とも同じはずだ。

    …勇者、繰り返しになるけど、君なら任せられる」

勇者「…言われなくたって、必ず魔王を倒してみせるさ。

    だけど僧侶、その時はお前も一緒だ。一週間で戻って来い」

女戦士「アタシも待ってるからねっ!ぜったい、戻ってきてよ!」

女魔法使い「僧侶くんのこと、信じてるから…だから…待ってるから」

頷き、笑顔を作ってみせる。

僧侶「ははは」

短時間だが、女魔法使いに自分の呪いに関する知識を話しておいた。

聡明な彼女なら、自分以上に理解し、魔物の用いる呪いに対抗することもできるようになるだろう。

やれるだけのことはやった。後は、それが正しい方法であることを祈ろう。

―――



62 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:47:18 ID:kF4YZqcE


僧侶「あーそうだ。勇者、これ持ってて」

結び目をつけた糸の片端を勇者に持たせる。

僧侶「条件になってる認識がどの程度の範囲なのかわからないけど、

    この程度なら大丈夫じゃないかなって。

    こっちは後ろを振り返るわけにはいかないから脱出が成功できたか否かの確認にね。

    もし10mを越えても脱出できないようなら、糸は捨てちゃっていいから」

勇者「男同士が糸で結ばれるとかおぞましいな」

女戦士「んー、もう既に似たようなもんなんじゃない?」

からかうように言う。脱出の糸口が見えたことで元気を取り戻せたようだ。



63 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:48:07 ID:kF4YZqcE

僧侶「それじゃ、後よろしくね」

言って、壁に向き直り座る。おう、とだけ勇者がこたえ、足音が響く。

1、2、3、4歩。糸はまだ繋がっている。5、6、7、8歩。

9、10、11、12歩。もしや方法を間違えたのではと不安になる。

13歩。女魔法使いが何か言ったようだったが、聞き取れなかった。

僧侶「…。」

それきり、足音は無くなった。糸をたぐりよせると結び目よりも手前で綺麗に切れていた。

大きく息を吐く。成功かどうかもわからないが、次に進めたのは確かだ。

目の前の壁を睨みつける。三人の無事でも祈りながら、時間を潰すとしよう。

.



64 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:48:34 ID:kF4YZqcE

―――回―――

――なぁ知ってる?お城の神官が、すげえ神託を授かったんだって。

  なんでも、神様が魔王を倒すための力を誰かに授けてくれるんだって。

  噂なんかじゃねえよ。酒場の情報屋からちゃんと買った情報だっつの!

  おれが選ばれちゃったりしないかなー。力を授かれたらいいよなー。

  …今のまんまじゃきっと足りないって。だいじなものを守るにはさ。

  もしおれが選ばれたら、みんなのことは絶対に守ってみせるよ――

―――想―――



65 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:49:27 ID:kF4YZqcE

―――【壁の前】―――


八本目の蝋燭は、もう燃え尽きる寸前。大雑把な計測だが、大体これで五時間だろう。

完全に消える前にカンテラに火を移し、明かりを確保する。

できるだけ燃料は節約しておきたかったが、やっておきたいことを済ませてしまおう。

まずは、ずっと気になっていた後ろを振り返る。

――相変わらずの黒一色が、そこにはあった。

三人の姿が見えないことに安堵し、自分の置かれた状況に落ち込む。

僧侶「まぁ、時間はあるんだし、気楽にやりますかね」

呟き、随分と軽くなった荷物を担ぐ。

まずは、この場が一人になったことで、封印に変化が現れないか調べよう。



僧侶「…変化無しかぁ」

②、③を再び試してみたが、変化はみられなかった。

みみっちく蝋燭を折って使ったことは影響してないと思う。

僧侶「ま、そりゃそうか。誰か一人残すような仕掛けにしないとな」



66 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:50:14 ID:kF4YZqcE

そう、戦力を削るためには――

僧侶「……んん?」

戦力が削れたことになるのだろうか。…決して自虐ではない。

あの村に着くタイミングは魔王軍に知られていた。こちらを魔物に調査されたのだろう。

――ならば、こちらの戦力だって理解しているはずだ。

規格外の勇者はともかく、

女戦士の剣の腕も凄腕と呼べるものだし、女魔法使いの魔力は今では底が知れない。

対して、自分にはそのどちらも無い。

魔力は元々適正が低いせいか雀の涙。

なんとか工夫してやりくりしてはいるが、溢れるような魔力の前には霞む。

鍛えてはいるが、腕っ節もそこまで強いわけじゃない。精々そこらの一般兵に毛が生えた程度だろう。

僧侶「ハァー…」

自虐じゃないつもりなのに、現状をおさらいするだけで泣けてくる。

でも、だからこそ。



67 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:50:55 ID:kF4YZqcE

僧侶「なんで条件に、性別を加えなかったんだ…?」

このパーティにとって二人はかなりの戦力。そちらを欠く方が痛手であることは確実だ。

士気を下げる目的だとしても、

今頃は美談めいた仲間の犠牲に酔っていることだろう。無駄に熱血してるに違いない。

僧侶「性別を条件指定するのに、そんなにコストがかかるのか?」

一般に制約は縛るほど強大な力を行使できるようになる。

が、今回の制約に用いられた"条件"は逆に縛るほどに力は弱まるはずだ。

例えば脱出の条件を『全員が死亡しないと脱出できない』とすると、

実質消滅させることになり、それ同等のコストが必要になる。

性別指定の場合はどうだろうか。『残る人物は女でなくてはならない』

…この場合、自分と勇者の二人だけだったとしたらそもそも罠にかかることすらないと思われる。

しかし、パーティの構成は男2:女2。全員を巻き込めば、罠は発動するだろう。

一応、『残る人物=封印され続ける人物』を指定することにはなるから、相応に力は弱まるとは思うが…

僧侶「『選ばれし者』を対象外にするから用いなかったのか?

    いやでも、その割りにはヒントめいた条件も残している」

そもそも、本当に二人を狙いたいのなら別の罠を作るか…

いやしかし二人はいつも勇者と行動しているし…

夥しい数の同胞の命を散らしてまで、魔王は一体何を――



68 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:51:35 ID:kF4YZqcE

僧侶「――あ"ーダメだわからん。疲れた寝る!おやすみ!」

ここにくるまでの戦闘と、無い頭を酷使したことで疲れてしまっていた。

魔王には何か別の目的があるのかもしれないが、ここを出られなくては知ったところで意味が無い。

外套を被り、床に転がる。カンテラの火を消すと目をあけていても黒しか映らなくなった。

何はともあれ体と頭を少し休めよう。起きたら、また続きを考えよう――

.



69 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:52:05 ID:kF4YZqcE

―――回―――

  魔物の出現を報せる鐘が響く。

  どよめく人々。両親に手をひかれて避難場所である教会の地下へと降りる。

  地下には既に大勢の人々が避難していた。その中に勇者と女魔法使いの姿を見つけ、ほっとする。

  …不意に、大砲の振動が地下室に響く。本格的な戦闘が始まるまで、もう幾許も無いだろう。

  と。

  女戦士の姿が何処にもない。三人で手分けしてみても、両親にせがんで探してもらっても、居ない。

  彼女は前回の襲撃で両親を亡くしていた。

  他に身寄りの無い彼女を親達は引き取ろうとしたが、彼女は断った。

  自分の家はここだと言い張り、一人で生きていけると泣き喚き、自分を人質に脅迫までした。

  仕方なく、親達や三人が手伝いに行くこと条件に、彼女はその家で一人で暮らしていた。

  嫌な汗が背中を落ちる。何らかの原因で、警鐘を聞き逃してしまったのか。

  絶対に外にでるなと言いつけられていた。でも、じっと待つこともできなかった。

  勇者と二人で監視の目を盗んで抜け出し、誰も居ない街中へと飛び出して行った――

―――想―――



70 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:52:58 ID:kF4YZqcE


目を覚まし、手探りでカンテラに火を灯す。映し出された光景は、相変わらず変化がなかった。

硬い床の所為で背中が痛む。今は朝だろうか。

ここでは時刻を知る術が全く無いことに、今更ながら気付かされる。

僧侶「まぁ、どの道一週間持つかってとこだし…大体把握できればいいか」

極々質素な食事を摂る。拠点と村が近いこともあり、食料は最低限しか用意してこなかった。

水ですら水筒に入っている分しかない。道中聖水を撒いてきてしまったのを、今更ながらに後悔した。

…後悔してもしょうがない。手元にある材料でなんとかするしかない。

僧侶「さて、早速始めますか」

.



71 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:53:39 ID:kF4YZqcE

条件を満たせなくなった以上、脱出できる方法は一つだけだ。

『呪い』の内に残る代償に見合う分だけ、解呪の代償を支払い続ける。

今回は物資に乏しいこともあり、素直に自分の魔力を代償として用いることにした。

床や壁に傷がつけられないので、止血用の布にペンで紋を刻む。座って作業ができるように床に敷いた。

刻んだ紋の中心に指をおいたところで、カンテラの火を消す。

ぼそぼそと詠唱を済ませると、指先から仄かに光が漏れ出し、暗闇に解呪の紋だけが浮かび上がる。

精神を集中させる。なるべく魔力の無駄が無いように、慎重に――

――祈るように。魔力を、ただ注ぎ続けた。

.



72 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:54:26 ID:kF4YZqcE

―――回―――

  勇者の両親は共に国を守る兵士だった。

  昔は名の知れた冒険者だったらしく、それぞれが隊を率いる身である。

  豪胆な性格で、勇者の家に遊びにいくたび髪がぐしゃぐしゃになるまで撫でられる。

  国を守る為に前線で戦うその姿は、幼い頃からの憧れだった。

  そんな二人が防衛に尽力していることもあってか、まだ街中に魔物の姿は無かった。

  息を切らせながら女戦士の家まで辿り着き、持っていた合鍵で中へと入る。

  呼びかけても返事が無いので、手分けして女戦士を探し始めた。

  静まり返った室内に城壁の外から雄叫びが響く。

  この家にいるとしか考えていなかった。

  探しながら焦りが募る。ここに居ないとなると、今から探しに行く時間は…



73 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:54:55 ID:kF4YZqcE

  不意に、二階から物音がした。勇者と顔を見合わせ、階段へと向かう。

  …入るときに呼びかけても返事がなかった。魔物か、盗賊か。

  いつもは軋む階段を、音をたてないよう慎重に上る。顔だけ覗かせて見たが、誰も居ない。

  ほっと息をつくと、タンスからごとり、と音がした。再び心臓が早鐘を打つ。

  勇者が目配せをし、タンスの扉に手をかける。

  手近にあった花瓶を武器として構え、扉を開けると――

  ――両手で耳を塞ぎ、震えながら縮こまる女戦士の姿があった。

―――想―――



74 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:55:40 ID:kF4YZqcE


僧侶「――ッはぁっ…はぁっ…」

指先から光が消え、少し遅れて布からも光が消える。全身に脂汗を滲ませながら、荒い息をする。

やっとの思いでカンテラに火を灯すと、壁に体重を預ける。

僧侶「はぁ…はぁ……ふぅ…――とりあえずは、ここまでか」

できるかぎりの工夫は施したが、やはり魔力の絶対量が少ない。

身体的疲労とはまた違った倦怠感が全身を包む。

息が整ったところで鞄から魔力に効果がある薬草を取り出し、もしゃもしゃと噛む。

ついでに同じく魔力を回復させる香も焚いておいた。

僧侶「………苦いし臭ぇ」

贅沢も言っていられない状況ではあるが、苦いものは苦いし臭いものは臭い。

空腹感を紛らわすために必要以上に噛んでいるせいかもしれない。

魔力回復のために体を休ませながら、

それとなく昨日中断した魔王の目的についての考察の続きをしていた。

.



75 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:56:17 ID:kF4YZqcE

―――回―――

  酷く怯えた様子の女戦士だったが、勇者の顔を見て取ると、抱きつき、大粒の涙を零し始めた。

  しゃくりあげながら、ぽつぽつとこうなってしまった経緯を話す。

  家の大事な物をかき集めていたら逃げおくれてしまったこと。

  怖くて耳を塞いでいたせいで呼びかける声が聞こえなかったこと。

  振動で誰かが入ってきたことには気付いたが、まさか自分たちだとは思わなかったこと。

  そして、心配かけてごめん、来てくれてありがとうと言うと、やっとはにかむような笑顔をみせた。

  勇者と軽口を叩き、三人で笑う。女戦士の無事がわかって一安心といったところだった。

  ――ずずん、と響いた重い音で、自分達の置かれた状況を思い出す。

  女戦士を連れて家を出て、教会への道を急いだ。

―――想―――



76 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:56:57 ID:kF4YZqcE


枯れるまで魔力を注ぎ込んでは休む。そうするうちに限界を迎え倒れこみ、泥のように眠る。

目を覚ましてはまた繰り返し、くりかえし。ただひたすらに、解呪を続けている。

が。一向に封印に変化はなかった。

解呪の一連の作業で予想以上に消耗している。

食料はとうに尽きた。水は、もはや僅かな聖水を残すのみ。

飢えと渇きで指先が震える。

なんとか集中しようとするが、魔力の枯渇までの時間が段々と早まってくる。

今は五日目であろうか。昏倒までの間隔が早まったことからもはや何の根拠も無い。

――残された時間は少ない。

僧侶「…。」

この先、更に消耗すれば精神の集中もままならなくなるだろう。

自分の全力が出せるのは今が最後かもしれない。

きっと、ここが分水嶺だ。

虎の子の聖水、残った薬品の類、故郷の国から肌身離さず持ってきた教典。

そして、霊獣の洞窟で授かった杖。

持っていた全てを、解呪の代償に捧げることにした。



77 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:57:41 ID:kF4YZqcE



新しい布に聖水と魔力を伴って紋を印す。

小瓶や薬草、教典やらを並べると立ち上がり、杖を紋の中心にあてがう。

僧侶「…いままで一緒に戦ってくれてありがとう。この先は、自分の力でなんとかするよ」

枯れた声で呟くと、返事をするように微かに杖が震えた。

深呼吸。握りなおし、目を見開く。体に残った魔力を練り上げると、指先の震えが止まった。

解呪の紋が今までよりも明るく輝き、光の粒があたりに飛び散る。

僧侶「『寄る辺を無くした血汐よ 現世を彷徨う魂魄よ』

   『そなたらをこの地に縛る鎖を解き 輪廻の輪へと還そう』

   『この祈りが 安らかな眠りへの導とならんことを』」

唱えると、解呪の紋は一層光を増す。捧げた供物が紋をくぐり消えてゆく。

小瓶、薬草、教典が光の中へ消えていったところで、封印に変化は無かった。

杖を握る手に力を込めなおす。



78 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:58:23 ID:kF4YZqcE

杖の先端が眩く輝き、その美しい身体を沈め始める。

渦巻く魔力を全力で押さえつけ、せめて無駄が無いように。

――依然、周囲に変化は現れない。

すがるような気持ちで続ける。杖はもはや半分ほどしか残っていない。

僧侶「――…頼む!…どうか、どうかこれで…」

終わってくれ。

その願いも、杖の先と、解呪の紋が放つ光と共に、闇に消えた――

.



79 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:58:53 ID:kF4YZqcE


全身から血の気が引く。両足から力が抜け、冷たい床に倒れこむ。

――まだ、足りないのか。

体温が奪われる。しかし身体は少しも震えず、ただ横たわる。

――これだけやっても、まだ届かないのか。

魔力の枯渇からくる喪失感。

――これでもまだ、『選ばれし者』の力は――

絶望の中で、意識が闇の中に堕ちていく。

.



80 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 03:59:37 ID:kF4YZqcE

―――回―――

  目立たぬよう裏路地を抜け教会を目指す。

  自分達の力で女戦士を助け出せた。そう誇らしげに思っていた。

  辿り着いた教会前の広場。喜びを分かち合おうと、二人の方へ向き直ったその刹那。

  轟音を上げて、城壁の一部が崩れ去った。

  唖然とする。あの辺りは勇者の両親が防衛を担っていたはず――

  間をおいて、勇者がそちらへ走り出そうとする。慌てて手を掴んだ。

  両親を助けに行きたいのだと言う。手を振り払おうともがき、暴れる。



81 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:00:06 ID:kF4YZqcE


  心配する気持ちはわかる。女戦士の救出に成功したことで気が大きくなっていたのかもしれない。

  しかし、どんなに強がっても自分達はまだ子供だ。さらに丸腰とあっては、結果は見えきっている。

  諭すも、聞かない。城壁が崩れた以上魔物がここにくるのは時間の問題だ。焦りがつのる。

  全力で教会へ連れていこうとするが、抵抗されてはうまくいかない。女戦士が泣き出してしまう。

  そちらに気をとられた瞬間。余っていた拳で勇者に殴りつけられた。

  思わぬ不意打ちに尻餅をつき、手を離してしまう。

  駆け出す勇者。また手を掴もうと起き上がると――

  眼前に、黒い魔物が舞い降りた。

―――想―――



82 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:00:39 ID:kF4YZqcE



――あれから、どれだけの時間が過ぎただろうか。

喉が渇く。

体温が上がらず凍える。

頭は靄がかかったように明瞭としない。

指先から流れる魔力は細り、途切れ途切れに。

それでも、解呪は続けていた。

止める事などできなかった。

諦めたくなかった。

死にたくなかった。

もういちど、彼女に会いたかった。

幾度と無く此岸と彼岸を行き来し、それでも続けた。

続けることそれ自体が、望みであるように。

奮い立たせていたのは、どんな感情だったのだろう――

.



83 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:01:17 ID:kF4YZqcE

―――回―――

  明滅する視界。全身への痺れ。

  少し遅れて、胸に焼けるような痛み。

  現れた魔物に、その爪で、唯一度だけ、薙がれただけで、

  それだけで、小さな身体は死に瀕していた。

  女戦士の金切り声。勇者の怒号。どちらも意に介すことなく魔物が近づいてくる。

  心臓が暴れ血がとめどなく流れる。逃げようとしても、身体が竦んで動けない。

  痩せて見える体躯に、長大な爪。蝙蝠のような翼には矢が何本も刺さっていた。

  来るな。嫌だ。痛い。死にたくない。

  黄色く濁った眼球。生臭い息が顔にかかる。時間がやけに遅く流れる。

  嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだ――

  ゆっくりと、牙の生え揃った口を開け――

  ――誰か、助けて。

―――想―――



84 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:01:53 ID:kF4YZqcE




意識は覚めたはずなのに、身体が動かない。



―――回―――

  魔物が、視界から消え去る。同時にやわらかな光が体を包み、痛みが消える。

  よく知ってる声。暖かい大きな手。いつだって安心できる、その顔。

―――想―――



85 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:02:22 ID:kF4YZqcE




こんなところで、終わってしまうのか。



―――回―――

  勇者に肩を借り、教会へと走る。

  周囲に夥しい数の魔物が舞い降りる。

―――送―――



86 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:03:04 ID:kF4YZqcE




なんで。どうして。



―――階―――

  彼らが とても強いのを知っていた

  こんな魔物 いくら束になってもかないっこない 

―――層―――



87 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/14(火) 04:03:51 ID:kF4YZqcE




嫌だ。どうして。なんで。嫌だ。なんでだどうしてなんだどうしてなんでなんでなんで――



―――悔―――

  教会の結界に足を踏み入れた瞬間

  朦朧とする意識で振り返り 見たのは

  烏のように群がる魔物 知らない声で叫ばれる名前

  その塊の中から飛び出た 誰かの白い腕

―――葬―――



僧侶「――なんで、こんな目に遭わなきゃいけないんだ」



―――



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