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妹「兄ちゃん、バレンタインの季節だぜ!」 【日常系】


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1328934494/




1 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:28:14 ID:anrQFRqA

兄「バレンタイン?」

妹「バレンタインだぜ!」

兄「そーか。もう2月だったのか…」

妹「そうだぜ!バレンタインだぜ!」



2 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:29:47 ID:anrQFRqA

兄「で、なんなの?今年もバレンタインのチョコが
  誰にも貰えそうにないオレを笑いに来たの?」

妹「wwwwwwwwwww」

兄「死にたいみたいだな」

妹「待つんだぜ、兄ちゃん!」バッ

兄「?」



3 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:31:32 ID:anrQFRqA

妹「そんな可哀想な兄ちゃんの為に今年はあたしが用意したんだぜ!」

兄「お前が?嘘だろ?」

妹「チッチッチ。ウソじゃないんだなあ、これが」

兄「まさかとは思うけど、家庭科1のお前が
  手作りしたワケじゃアないよなぁ?」

妹「そのまさかだぜ!」

兄「ヒイッ」





4 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:34:00 ID:anrQFRqA

兄「なんかオレ、急に旅に出たくなったなぁ」ザッザッ

妹「逃がさないぜ、兄ちゃん」ガシッ

兄「ヒイッ」

妹「あたしの愛とか憎悪とかよだれとか、
  その他いろいろ混ぜ合わせたチョコを食べてもらうんだぜ!」

兄「せめて愛だけにしろよ!なんだよ憎悪やよだれって!?」

妹「他にもたくさん入ってるぜ♪」

兄「聞きたくねーよ!!!」



5 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:36:30 ID:anrQFRqA

妹「まあまあ、そう言わずに♪」

兄「やめろ!お前はそんなもんオレに食わす気か!?」

妹「バレンタインだからね♪覚悟するんだぜ兄ちゃん」

兄「それ違うから!バレンタインにする覚悟とちょっと違うから!」

妹「あたしの愛に酔いな」

兄「ヒイッ」



6 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:38:17 ID:anrQFRqA

妹「はい、あーん♪」

妹はそう言いながら、なにやら得体の知れないものを取り出し、
強引にオレの口の中に放り込んだ。



7 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:40:10 ID:anrQFRqA

兄「ふむぐぐぐぐぐggggっ!?」

妹「ちゃんと味わうんだぜ、兄ちゃん」

兄「おろろろろろろろろろん…」ゲロゲロ

妹「吐いちゃダメだぜ!しかたないなあ、ほいもう一個」ポイッ

兄「ふぐうっぐうううふ!?」

妹「今度はちゃんと食べてね?」ガシッ

兄「!?」



8 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:43:01 ID:anrQFRqA

兄「あぁぁぁっぁ!?あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!?」ジタバタ

妹「そんなに全身でチョコの味を表現しようとするなんて…」

兄「ふおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!?」ジタバタ

妹「喜んでくれて嬉しいぜ」

兄「ふざけんなああああああああああああ!!!!」ガバッ

妹「おっ?」



9 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:44:29 ID:anrQFRqA

兄「ハー、ハー、ハー」

妹「ちゃんと食べてくれたんだぜ?ありがとう、兄ちゃん♪」

兄「ふんっ!」ボカッ

妹「いった~?何するんだぜ、兄ちゃん」

兄「それはコッチの台詞だ!なんてもん食わすんだ!殺す気かよ!?」



10 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:45:43 ID:anrQFRqA

妹「そんな……あたしはただ兄ちゃんに喜んでもらおうと…」

兄「あんな殺人兵器食って喜ぶ奴がいるか!」

妹「でもあんなに嬉しそうに踊ってたじゃん」

兄「苦しみ悶えてたんだよっ!」



11 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:46:44 ID:anrQFRqA

妹「そんな…」シュン

兄(しまった、言い過ぎたか…)

兄「あ、あのなんだ。その気持ちはオレも…うん…」

妹「大成功なんだぜ!!!」

兄「はあ?」



13 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:49:45 ID:anrQFRqA

妹「兄ちゃんが悶え苦しみながら食べるほどのチョコ!
  うーん、我ながら恐ろしいものを作ってしまったんだぜ!」

兄「あの……なに言ってるの?」

妹「来年はこの成功を元にさらなる飛躍を…」

兄「聞けよ」ボカッ

妹「いった~?」



14 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:52:44 ID:anrQFRqA

兄「つまりお前は、人を殺せるくらい
  このチョコが不味いのが分かっててオレに食べさせたんだな?」

妹「いったいな~。当ったり前じゃん!」

兄「ねえ、なんで?」

妹「だってバレンタインってそういうもんでしょ?」サヤッ

兄「うわ。すんげー爽やかな笑顔。思わずぶっ飛ばしたいわ」



15 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:53:54 ID:anrQFRqA

妹「いいよ、兄ちゃんになら…」スッ

兄「え?」

妹「ぶっ飛ばしても……良いんだぜ?」ドキドキ

兄「妹…」ドキドキ



16 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:56:25 ID:anrQFRqA

兄「おまえ、俺をおちょくるのもいい加減にしろよ?」

妹「いい加減じゃないよ!」

兄「!?」

妹「兄ちゃんになら、どんな事されても…あたし…」ドキドキ

兄「……」ゴクッ



17 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 13:59:54 ID:anrQFRqA

兄(い、いや……なんだよゴクッて。なに喉鳴らしてんだよオレは!?)

兄(相手は実の妹だぞ!?それを何しても良いからって…そんな…)

兄(いやいやいや…だから何考えてんのオレ!?
  なんで妹に対してそんな興奮してんのオレ!?今殺されかけたばかりだよ!?)

兄(それなのに何で妹が目つぶったくらいでこんなドキドキしてんの!?
  変態なの!?)

妹「兄ちゃんは根っからの変態さんだから仕方ないんだぜ」

兄「心を読むなよ!」



18 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 14:03:00 ID:anrQFRqA

兄「はっ!?……お前、まさか…」

妹「今頃気づいても遅いんだぜ、兄ちゃん!」

兄「さっきのチョコに細工してやがったなぁ!?」

妹「我が家に代々伝わる秘伝の惚れ薬なんだぜ!」

兄「てめえっ!」

妹「ふっふっふ!これで兄ちゃんはあたしの虜!逃げられないんだぜ!」



19 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 14:04:47 ID:anrQFRqA

兄「逃げるに決まってんだろ!」ダッ

妹『待て!』

兄「なん…だと…!?」ピタッ

妹「ふっふっふ。言ったはずだぜ兄ちゃん。逃げられないと!」

兄「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…」



20 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 14:08:29 ID:anrQFRqA

妹「そしてチョコの毒が体中に廻った今ならあたしのどんな命令も…」

兄「毒!?毒っつたか、今?」

妹『ちんちん!』

兄「はっ!?」バッ

妹『回れ右!』

兄「なぬっ!?」バッ

妹『お手!』

兄「ちょ」サッ

妹「聞いちゃう身体になっちゃてるんだぜ」ワクワク

兄「この…悪魔め…」ワナワナ



23 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 16:57:00 ID:anrQFRqA

妹「さーて、兄ちゃん。どうして欲しい?」

兄「どうしてって……!?

兄「あかん!兄妹でそれはあかんがなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



妹「って夢を見たんだけど」

兄「頭大丈夫か、お前?」



24 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 16:58:33 ID:anrQFRqA

妹「大丈夫じゃないよね、我ながら…」

兄「つーかさ。なにその喋り方?「だぜ」?流行ってんの?」

妹「さあ?」

兄「さあって…」

妹「でも夢だし、そこら辺はあんまり気にしなくても」

兄「俺とお前が出てきてんのにか?」

妹「あうあう」



25 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:00:00 ID:anrQFRqA

兄「よくゆーじゃん、夢って深層心理の表れって」

兄「つーことは、そのだぜ口調はお前の願望ってわけだ」

妹「そーなのかなぁ?」

兄「そーだろ、たぶん」



26 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:01:12 ID:anrQFRqA

妹「でもさあ、兄ちゃん」

兄「あん?」

妹「それなら喋り方よりも、
  あたしが兄ちゃんにチョコあげた方を気にして欲しかったり…」

兄「あぁぁ~~~、まあ、な」



27 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:03:06 ID:anrQFRqA

妹「でさ」

兄「おう」

妹「どーだった?」

兄「なにが?」

妹「だからぁ!夢の中でとはいえ
  あたしにチョコもらったのは嬉しかったかどうか聞いてんの!」

兄「嬉しいもなにも、その夢見たのオレじゃなくてお前…」

妹「……」ジィッ

兄「う、嬉しかった、かな?」



28 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:04:10 ID:anrQFRqA

妹「ほんとう?」

兄「ああ、うん。嬉しかった嬉しかった」

妹「そっかぁ、えへへへ」

兄「それはそうとさ……」

妹「うん」



29 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:05:46 ID:anrQFRqA

兄「夢の続きでお前はオレに何させようとしてたのか、
  そっちの方が気になるんだけど」

妹「そ、それをここで聞いちゃうって、兄ちゃんやっぱり変態だね…」

兄「お前の夢だろーが」

妹「そうだけどさ」



30 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:08:41 ID:anrQFRqA

妹「でもやっぱり女の子に夢の続きを聞くなんてデリカシーないよ」

兄「そうなの!?女の夢ってそんなに際どいもんなの!?」

妹「そりゃそーだよ、特に腐女子の妄想なんか、
  同じ女のあたしでもちょっと…」

兄「ああ、それはなんとなく分かるけどさ…」

妹「とにかく!女の子に夢の続きは聞いちゃダメ!分かった!?」

兄「はいはい」



31 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:10:40 ID:anrQFRqA

兄「と……もうこんな時間か」

妹「あれま。時間がたつのは早いね」

兄「楽しい時間は過ぎるのが早いからな」

妹「それって告白?」

兄「バカ。ただの感想だよ」

妹「ちぇー」



32 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:12:54 ID:anrQFRqA

兄「じゃ、良い子にしてろよ」

妹「良い子にしてたら明日のお土産はケーキかな?」

兄「ねーよ。この食いしん坊め」

妹「成長期ですから♪」

兄「太るぞ」

妹「胸だけね♪」

兄「はいはい」



33 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:15:57 ID:anrQFRqA

妹「兄ちゃん」

兄「ん?」

妹「明日も来てくれるかな?」

兄「多分な」

妹「そっか」

兄「オレがいなくてさびしいとか?」

妹「それはどうだろう」

兄「てめっ、このヤロ」

妹「冗談だよ♪」

兄「ったく。大人しくしてろよ」

妹「うん…」



34 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:17:56 ID:anrQFRqA

いつものように妹との他愛ない会話を終えて、
オレは病院を後にした。

二月の初めの事だった。



35 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:23:19 ID:anrQFRqA

妹は生まれつき身体が弱く、長くは生きられないと言われている。

漫画や小説なんかじゃ奇跡的に治ったり、はたまた悲劇のヒロイン
みたく呆気なく死ぬもんだが……残念ながら妹は苦しい毎日を送っている。

現実なんざ所詮こんなもんだ。

眠るように安らかに死ぬとか、綺麗な死に方とか
あんなものはない。

毎日、今日死ぬかもしれない、明日死ぬかもしれない、
死にたくない、もっと生きたいと考えてるとか。



36 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:26:42 ID:anrQFRqA

無理ないな、と思う。

まだ小学生なんだ。
まだ生まれてから何年も生きてないんだ。

やりたいことはいっぱいあると思う。
やり残してるモノだらけだと思う。

友達とお喋りしたり、一緒に遊んだり、笑ったり、怒ったり泣いたり。
恋愛とかだってしたいと思う。

この病院にはあいつと同じ年頃の男の子なんかいないし、
年の近い異性なんて、オレ以外ほとんど会ったこともないはずだ。

まだ、なんにもやれてない。



37 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:30:10 ID:anrQFRqA

たぶん、あいつがバレンタインで
オレにチョコを渡す夢を見たとかもそこら辺が関係しているんだろう。

あの年代の女の子らしく。
あの年代の子供らしく。

相手がオレなのは他に渡す相手が思い浮かばないから。

そう思うと、オレはあいつの為に何がしてやれるんだろうと、
いっそう悩んでしまう。



39 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:34:10 ID:anrQFRqA

親父もお袋も妹の治療費、入院費のためにひたすら働いてる。

昔はそれを疎ましく思って、妹があまり好きじゃなかった。
けれどオレも中学生になって、妹がどんな気持ちで毎日過ごしているのか、
どんな気持ちで病院のベッドに一人佇んでいるのか分かり始めたら、
自分がどんなに恵まれていたのか思い知った。

妹は、別にあんな身体になりたくてなったワケじゃないんだ。



40 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:41:33 ID:anrQFRqA

「オレが代われるなら、代わってやりてえ」

いつだったか、母さんが似たような事を言ってたっけ。

「なんであの子が!私があの子の病気を全部代わってやりたい!
 代われるなら代わってやりたい!神さまがいるならあの子を助けて欲しい!」

だっけ……?

この世に神さまなんていないと思えば思うほど、やっぱり神さま
にいて欲しいと思うんだよな。

人って矛盾してるや。

そもそも神さまがいるのなら、こんなに辛い子供が生まれて来る
筈なんてないのに、それでもやっぱり神さまに祈るだなんて。



42 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:45:11 ID:anrQFRqA

でもやっぱり……。

居ないとは分かっていても、神さまにでも祈らずには
やってられなかった。

ここ最近の妹の体調が優れないことは、オレも母さんも父さんも、
そして妹自身も十分すぎるほど分かってて……。

もう、あまり時間が残されていないことを誰もが気付いていた。
気付いていないふりをしていただけだった。



43 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:47:47 ID:anrQFRqA

運命の日は突然やってきた。
2月14日バレンタイン。

世間じゃチョコをあげたじゃあげないじゃ、
はたまた貰ったじゃ貰わないじゃのお祭り騒ぎ。

でも我が家はそんなのどうでも良かった。
妹が病院のベッドを抜け出したそうな。



44 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:49:44 ID:anrQFRqA

父さんも母さんも会社を休んで、
オレも学校を早退して病院に駆け込んだ。

それくらいの大事件だったんだ。

「中庭は見たか!?」

「渡り廊下は!?」

「売店は!?」

病院の中だというのに、怒声が飛び交う。



45 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:51:06 ID:anrQFRqA

そうだ、妹は一人で出歩けるような身体じゃないし、
もし一人でいる時に発作が起こったらそのまま死んでしまう。

父さんも母さんも血相を変えて病院内を走り回る。

そして、オレは……。



46 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:54:14 ID:anrQFRqA

オレは、病院から出て街中を走り回った。
妹が行きそうな所を。

あいつが入院する前に一緒に行ったトコ。
あいつが病院でオレに行ってみたいと言ってくれたトコ。
そして、あいつが退院したら、オレと一緒に行こうと約束したトコなんかを。



47 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 17:57:26 ID:anrQFRqA

でも、どれだけ探しても妹はいなかった。

ケータイで電話しても、
父さんも母さんもまだ見つけてないみたいだし、お手上げだ。

父さんは「もう夜も暗いから先に帰ってなさい」
と電話越しにオレに言うと、また捜索に出かけた。



48 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:00:37 ID:anrQFRqA

散々走り回ってへろへろだったオレは、
最後に妹が行きそうな所をもう一か所だけ寄ってから家に帰った。

「どこ行ったんだよ、あいつ……」

なんて呟きながら。

けど、家の前まで帰って来たところで気がついた。

「灯りが…点いてる?」

まさかとは思って玄関のドアを開けてみると
妹のスリッパがある。

まさか……!!!



49 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:02:08 ID:anrQFRqA

「…………」

予感は的中した。
妹は家にいた。

でも……

「ウソだろ、おい?」

妹は床に突っ伏していた。

「おい!!!」

オレは慌てて妹に駆け寄る。



50 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:03:59 ID:anrQFRqA

呼吸はしてる。
脈もある。

けど……

「こいつ、こんな状態で家に帰ってきてたのか!?」

見るからに死にかけだった。
見るからに苦しそうだった。

「とにかく、父さんに知らせないとっ!」

ケータイに指をかける。



53 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:07:21 ID:anrQFRqA

「早く!早く出てくれっ!」

コール音がやけに耳に障る。
父さん!早く出てくれ!

そんなオレの思いが伝わったのかようやっと父さんに繋がる。

「どうした?こっちはまだ帰れそうに…」

「いたよ!家にいた!」

「本当か!?大丈夫なのか?」

「それが、凄く具合悪そうで…」

「!?」



54 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:10:17 ID:anrQFRqA

それからの事は、あまりにも慌ただしくておぼろげにしか覚えてはいない。
確か、父さんがすぐに救急車に電話してくれたんだっけ?

そうだ、オレは先に救急車に電話すりゃよかったのに、
パニクって何故か父さんに先に電話したんだっけ……バカだな。



55 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:13:26 ID:anrQFRqA

それで……そのままオレも妹と一緒に救急車に乗り込んだんだ。
乗り込んで、病院へ。

病院へ……行く予定だったのに……
病院に到着する前に妹は死んだんだ。

オレの目の前で。



57 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:15:56 ID:anrQFRqA

あの日。

2月14日は大雪で渋滞していた。
普段ならすぐに着くような距離なのに、その日に限って……。

もし、オレが先に父さんじゃなく救急車に電話してたなら、
もしかしたら妹は死なずに済んだかもしれない。

もし、オレがもっと早くに家に帰っていれば
妹は死なずに済んだのかもしれない。



58 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:18:05 ID:anrQFRqA

いや、それ以前に。

オレが妹から夢の話を聞かされた時に、
不用意にチョコを貰って嬉しかったなどと言わなければ、
そもそも妹は家に帰ってなどいなかったかもしれない。

……なぜなら、妹はオレに手造りチョコレートを渡すために
自宅に帰ってきてたんだから。



59 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:20:10 ID:anrQFRqA

家のキッチンにはチョコレートの作りかけがたくさんあった。
お世辞にも美味しそうとは思えない形のチョコがたくさん。

包丁もろくに握ったことのない奴だったし、
無理ないのかもしれないんだけど。



61 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:21:26 ID:anrQFRqA

たぶん、きっと。

あいつは女の子がしたかったんだろう。
自分がもう長くないと分かってたから、きっと。

……でも、それでもオレはあいつに生きていて欲しかったし
死んでほしくなかった。



63 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/02/11(土) 18:25:28 ID:anrQFRqA

それだけは絶対に、そうだった。



……今年もバレンタインがやって来る。

世間じゃ相も変わらずチョコを貰ったじゃ貰わないじゃ、
あげたじゃあげなかったじゃ楽しそうにしているけれど。

オレだけは素直にこの日が喜べないのである。

ビターチョコを食べたワケでもないのに、ほろ苦くて、切なくて、
胸が締め付けられる。

そんな一日である。



おわり



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