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姉「妹に監禁された」#前編 【戦争】


http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1327413569/

姉「妹に監禁された」#前編
姉「妹に監禁された」#後編




6 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 07:40:39 ID:LtAzaCGE


姉「妹に監禁された」

姉「…とはいうものの、冷暖房完備、拘束無し、衣服も無事。家賃も月2万という好条件」

姉「唯一の問題は」


姉「食事が己の糞便だけだということだろう」





7 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 08:02:45 ID:LtAzaCGE


姉「そもそも、何故監禁されているのであろうか」

姉「特に恨まれる謂われもなく、妹とは仲良し姉妹と思っていた」

姉「昨日のオヤツは半分こ、お風呂も一緒、寝床も同じ」

姉「…それに、兄上の自慰行為を共に鑑賞する姉妹愛には、父も母も涙を流して喜んでくれていた」

姉「それが目覚めてみれば、一変してこの有り様」

姉「外に出ようにも、下手に外出すればニプルのピアスが爆発する仕掛け」

姉「…………」グゥ


姉「衣食住の中で、最も私が重要視する食を奪う暴虐ぶりに、…お姉ちゃん泣きそうだよ」



8 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 08:10:10 ID:LtAzaCGE


(一時間経過)


姉「……ふぅ」

姉「よもや便秘とは誰が予想しようものか」

姉「しかし、自分の便を食さねばならぬ以上必ず出さねばならぬ」

姉「排便は、ADLの中でもかなり上位。…お姉ちゃん頑張るよ」

姉「…………」


姉「……出ぬ」



9 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 08:20:49 ID:LtAzaCGE


(二時間経過)


姉「…痔は日ノ本の国民病と人はいう」

姉「かの有名な水戸黄門も遠山の花吹雪も、晩年は痔によって馬にも乗れぬ程の痛みに苦しめられた」

姉「…………」サスサス

姉「こうして便所紙を折りたたんで刺激を与えていれば、やがては私も彼らの域に辿り着くやも知れん」

姉「だが、しかし」


姉「…鼻セレブが我がトイレットペーパーとは、これは果たして武士の一分であろうか」



10 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 08:35:55 ID:LtAzaCGE


(三時間経過)


姉「さてさて、相変わらず我が下腹には関所が敷かれたまま。
  …入り鉄砲に出女、まだまだ乙女の通過は難しかろう」

姉「…………」フンヌ

姉「ぬぅ、こうも日頃のダイエットが裏目に出るとは思わなんだ」

姉「食する時に食し、出す時に出す。この素晴らしさは恐らく全世界共通のもの」

姉「こうして洋式便器に腰掛ける姿は、ロダンの彫像や聖母の何やらに例えられよう」」

姉「…………」エイヤ


姉「産みの苦しみとは、まさにこの様なものであろうなぁ…」



11 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 09:01:06 ID:LtAzaCGE


(四時間経過)


姉「古の時代、日ノ本では自らの糞便を振る舞う豊穣の女神がいた」

姉「…………」チョイサ

姉「だが、その女神は宴会の席で排便する姿を見つかってしまい、斬り殺されてしまう」

姉「そうして五穀が誕生したのだという」

姉「この二神はわりとポピュラーで、同時にお祀りする神社も少なくない」


姉「…日本の夜明けは、まだ遠いな」



13 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 12:21:02 ID:LtAzaCGE


(五時間経過)


姉「もうお昼」

姉「世間ではイチャイチャウフフな大人達がキャッキャデュフフと食事に勤しむ時刻」

姉「…………」コリャコリャ

姉「だが、我がヤマタノオロチはまだ一頭も姿を見せぬ。まさに、ヤポネーゼニンジャの鑑といえよう」

姉「この様な私にも大和魂が根付いているとは、さすが日ノ本、八百万の神々のおわす場所」

姉「我が先人、小泉八雲もさぞやお喜びであろう」

姉「あの方にしろシーボルト氏にしろ、当時の日ノ本では、私達の様な人間が生きるには少し辛すぎたと聞く」

姉「ペリー氏などは天狗と間違えられる始末、…金髪白肌とはさも珍しき存在か」

姉「だが、今ではこうして神々が宿って下さる。一神教ではこうはいくまいて…」


ガチャ

姉「やあ兄上、トイレの神様に会いにきたのかい」



14 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 12:48:13 ID:LtAzaCGE


(小休止)


姉「…ああも怒鳴らずとも良いであろうに」

姉「…………」ドヤサ

姉「まったく、兄上は短気で困る。可愛い妹の苦難に、共に闘うのが兄妹愛であろう」

姉「まだまだ愛では地球を救えそうに無い」

姉「ああ、詳しくは卓上の紙を見て来てくれ」

姉「出来れば、下剤や浣腸なしで便秘を直す方法を一緒に考えて下さると嬉しい」


姉「…行ってしまわれたか」



16 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 12:54:40 ID:LtAzaCGE


(六時間経過)


姉「…いかぬいかぬ。こうも便座が温かいと、睡魔が私の友人となる」

姉「…………」TOTOバンザーイ

姉「やはり寝ぼけまなこでは、下腹に力を入れることすら容易ではないか」

姉「兄上はまだ帰らぬか」

姉「…………」ボー

姉「…………」ウツラウツラ


姉「……クークー」



17 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 13:01:12 ID:LtAzaCGE


(七時間経過)


姉「……クークー」

姉「…………」


ちゃっぽーん。

姉「……Zzz」



18 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 13:15:57 ID:LtAzaCGE


(八時間経過)


姉「…さて困った」

姉「いざ出たは良いものの、日頃の習慣とは侮れぬ」

姉「…………」ゴメーン

姉「まさかいつも通りに流してしまうとは…」

ガチャ

姉「ああ兄上、すまぬ。不甲斐ない妹で申し訳ない。…グスッ」

姉「否、泣いてなどおらぬ」

姉「…先に(下水道に)逝ってしまった我が娘の不憫さに涙が出ただけよ」

姉「何の抵抗も出来ず、曝気層の微生物達にその身を蹂躙され、原型を無くして世を去る」

姉「……ズビッ」

姉「何のための生であろうか」

姉「そう思うと涙を禁じ得ぬ。今はあの子の冥福を祈るのみ」


姉「…兄上、もう少しだけお胸を御借りしたい。優しく抱いて下され」



20 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 13:28:10 ID:LtAzaCGE


(八時間半経過)


姉「…兄上すまぬ。落ち着いた」

姉「…………」ヨッコラセ

姉「それで兄上、何かお考えはまとまりましたか」

姉「よもや、妹の菊花を薔薇を変える等の世迷い言は申すまい」

姉「…………」パラパラ


姉「うむ、これからの技術大国を支える男は頭の回転も早くて良い。早速準備に取りかかろう」



21 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 15:42:21 ID:LtAzaCGE


(遅い昼食)


姉「…ふう」

姉「…………」カチャカチャ

姉「トイレで食するカレーとは、確かにシュールなものであるな」

姉「糞便に類似した形態だが、不似合いなほどに芳しき美味なる香気」

姉「これならば監視カメラ程度の解像度では見破れまい」

姉「美味し美味し…」

姉「日本のカレーがNASAの宇宙食に認められた理由が良く分かる」

姉「…………」モグモグ

姉「しかし兄上よ」

姉「これがバレてしまえば、一体我らはどうなることやら」


ガチャ

姉「おお、妹か。先に頂いておるゾ……………、」カラーン



22 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 15:53:08 ID:LtAzaCGE


(十時間経過)


姉「妹よ、さすがに兄上にやりすぎではないか」

兄上「…………」スッパダカ

姉「裸にひんむいた後、お隣さんの情事の最中に『突撃隣の晩御飯』の刑」

姉「その上、エネマグラ空気椅子とは…」

姉「お隣さんが理解ある人でなければ、そなたの好きな兄上は社会的にも人間的にも死んでいた所だ」

姉「…おい、聞いておるのか」


姉「駄目か、既に向こうの世界にいっておられる」



23 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 16:11:51 ID:LtAzaCGE


(早い就寝)


姉「兄上、すまぬ」

兄上「…………」ビクンビクン

姉「妹の拷問に二時間も耐えた御仁は、兄上が初めてだ」

姉「妹も嬉しかったのだろう。隣で満足そうに寝ている」

姉「寝顔はこんなに可愛いらしいのに、まったくこの妹の何処にあのような悪魔が潜んでおるのか」

姉「さて、二人をベットに運ばねばなるまい」

グイ……ギチン

姉「…旅立って尚、兄上を絞め続けるこの執念」


姉「これぐらいの根気があれば、我が母国もあんな結果にならなかっただろうに…」



24 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 17:24:00 ID:LtAzaCGE


【2012年12月 欧州】


ニュースキャスター
『予てより崩壊が危惧されておりましたギリシャ経済が、各国の尽力虚しく力尽きました』

『これにより、イギリスを除くEU圏内では混乱が続いており…』

ギリシャ政治家
「…土下座」フテブテ


この経済危機が世界に与えたダメージは予想よりも大きかった。

まもなくアジアでは中国の革命分子が動きを見せ、中国経済が停滞。

アメリカも金融不安から、超内需拡大に政策を変更せざるを得ず、南米もそれに倣う。

オセアニアでは、再び民族主義者が勢いを取り戻し、華僑や韓国人を国外追放。

一時はインドネシア沖に、両軍が睨み合う事態に発展した。

比較的安全と思われた日本でも、都市部での失業者が増え、

都会から地方へと政治の場が変わってしまった。


…そして彼女らの母国でも、『変革』は否応なく訪れた。



25 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 17:52:47 ID:LtAzaCGE


【2014年 5月】


友「ねーねー、きいた~?」

姉「何か」

友「ジャック・ザ・リッパー(四代目)の被害者が今月で24人目なんですって…」

姉「珍しく無いでしょう。模倣犯かも知れませんし、私達には直接関わりの無い事件です」

友「姉はKOOLだね」

姉「…………」

友「犯人は青色ツナギや、ヤポーン・ソルジャ-、黒衣の僧侶」

友「多数の目撃者がいるにも関わらず、
  犯人は白昼堂々と被害者を暗い一室に監禁し、凌辱の限りを尽くす」

友「犯人はどんな人間なのかしら」

姉「ゴメンナサイ、何故それを私に聞くのかしら?」

友「いや、姉は日本文化に詳しいでしょ」


姉「…なんのこと?」



26 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 18:10:33 ID:LtAzaCGE


キーンコーンカーンコーン。


先生「諸君らに通達する」

先生「…諸君らも知っての通り、先の経済危機によって、我が国は政治にも経済にも破綻している」

先生「今まで大人達は、何とか騙し騙しやりくりをしながら、学校教育を続けていた」

先生「…だが、結果は無意味だった」

先生「最低限度の医療制度すら機能せず、国民は貧困の真っ只中にある」

先生「…そこで政府は、学力や運動面で本当に優れた者以外に対して、
   『公的』な『就業機関』を立ち上げた」

先生「…………」ガチガチ

先生「その第一期生として、今から読み上げる者にアンケート用紙を配る」



27 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 18:23:28 ID:LtAzaCGE


キーンコーンカーンコーン。


姉「…友、名前呼ばれてたけど大丈夫?」

友「うん、ほらアタシは頭悪いし、家も貧乏だからさ~。
  まさに渡りに船、立候補する手間が省けたってものよ」

姉「そう、なら良いのだけれど。それでどんな内容なの?」

友「ええと…」


アンケート用紙
『貴女が将来つきたい職業は何ですか?

 《衣》…モデル、デザイナーなど
 《食》…コック、パティシエなど
 《住》…歌手、声優など

 以上3つの中から1つだけ○をつけ、期日までに提出して下さい。

 貴女の将来に幸あらんことを。

 社会福祉公社 代表 』



28 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 18:41:30 ID:LtAzaCGE


姉「…意外に普通ね。むしろ普通過ぎて拍子抜けしてしまうわ」

友「そりゃそうよ。何たって政府のやることですから」

姉「あの先生があんなに震えていたのは何だったのかしら?」

友「さあ?」

姉「…それで何を選ぶつもり?」

友「そうね。《衣》《食》《住》だけれど、ここは私の才能を活かして《住》を選ぼうと思うの」

姉「才能も何も…、近所の聖歌隊のリーダーだっただけじゃない」

友「いいの!ほらほら、私の美声が世界を幸せにするの!。
  …せっかくの好機、利用しない手はないわ!」

姉「楽天的ね、友らしい」

友「エヘヘ…、女の子は笑ってなんぼの世界に生きてるのよ~」

姉「…変な歌」ハア



29 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 18:51:14 ID:LtAzaCGE


(同年 7月3日)


友「姉~、遊ぼ~」

姉「…勉強中」

友「良いの良いの。それにほら、姉はもう進学組に選抜されてるんでしょ?」

姉「……一応、ね」

友「ほ~ら~、天才だって休息は必要だよ~。
  トーマスも99%の休養と1%の努力って公言してたらしいし。遊ぼ~よ~」

友「…………」ウルウル

姉「分かった。分かりました~」

友「エヘヘ…、好きだー!」



30 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:05:12 ID:LtAzaCGE


(同年 7月15日)


友「姉~、あ~そ~ぼ~」

姉「…………」

友「ほれほれ、せっかくの美人さんが眉根にシワを寄らせてはダメだよ~」

姉「…今日は何をするの?」

友「暑いし、私の家でお菓子食べながらテレビ見ない?」

姉「随分と贅沢な提案ね」

友「うむうむ、それだけ政府も私の魅力に惚れ込んでいる証拠よ。
  モテる女は辛い。…でも、そのお陰で家族全員3食ご飯付きの生活が出来てるの」

姉「…そう」

友「そういえば、第3回生に妹ちゃんが選ばれたんだって?」

姉「うん、…あの子、食いしん坊だから《食》に迷わず○をつけてたわ」

友「これで姉の家も、3食ご飯付き決定だね!」



31 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:17:58 ID:LtAzaCGE


(同 7月23日)


友「あ~そび~ましょ~」

姉「…暇なの?」

友「エヘヘ…、実は最近、施設での発声練習が免除されてて。空いた時間は好きにして良いそうなの」

姉「大丈夫かしら、この国」

友「ひどい~、これも『才能』なの~」

姉「ふ~ん」

友「馬鹿にするな~。偉い学者さんが言うには、
  私の声には人を安心させる効果が含まれているらしいの」

姉「…確かに。友の落ち着いた声は、私も好きよ」

友「でしょ?」

姉「うん」

友「…だから、今度から昔話の音読練習なんかもするらしくて、忙しくなる前に姉と遊び尽くそうと」

姉「そういうことなら…」


この日を境に、友が私の家の扉を叩くことは無かった。



32 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:22:43 ID:LtAzaCGE


(同年 8月8日)


姉「…………」モクモク

姉「…………」カリカリ

姉「……クークー」

姉「……Zzz」

ガクッ

姉「………!」キョロキョロ

姉「……ふぅ」



33 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:30:22 ID:LtAzaCGE


(同年 8月15日)


ミーンミーン。

姉「…暇ね」

姉「こんなに静かな夏休みは初めてだわ。妹も友も『施設』で、今頃何をしてるのかしら」

姉「やっぱり国を代表とする第1回生だもの。…きっと忙しいんでしょうね」

姉「…………」

姉「妹、泣いてないかな~。心配だな~」


ピーンポーン


宅急便の人
「すいませーん。御在宅ですか~」



34 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:42:13 ID:LtAzaCGE


宅「申し訳ないんすけど、お隣さんがお留守でして…。代わりに預かって貰っても宜しいっすか」

姉「…随分と大きな荷物ね」

宅「や~、そうなんす。こんなご時世にこんな大荷物。運ぶだけでも一苦労なんす」

姉「分かりました」

宅「…ありがとっした~」

姉「いえいえ、ご苦労さまです」

バタン
ブロロロロロ…。

姉「…………」

姉「…そういえば、最近お隣さん静かね。友ちゃんも顔を見せないし」

姉「まあ、私も勉強に勤しむといたしましょうかって、あれ?」

姉「…この荷物、届け人が友ちゃんだ」



35 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 19:59:58 ID:LtAzaCGE


(同年 8月16日夜)


ピンポーン

姉「はい、今出ま~す」

姉「…………」バタバタ

ガチャ

姉「あ、お隣さんでしたか。お久しぶりです。友ちゃんからお荷物届いてました」

姉「…って、うわあ!」

ギュッ、ナデナデ

姉「???」



36 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 20:11:41 ID:LtAzaCGE


(同年 8月31日)


姉母「姉~、ちょっと来てくれる~」

姉「は~い」

姉母「…最近、お隣の奥さんが元気ないの知ってる?」

姉「うん、友ちゃんが居なくて寂しんだと思う。
  …私も妹や友ちゃんの声が聞けなくて、調子が狂ってるもの」

姉母「やっぱりそうよね~。それでなんだけれど、少しお裾分けをお届けして欲しいの」

ホカホカ

姉「うわ、上小麦粉の蒸しパンだ。高かったでしょ」

姉母「ふふふ、凄いでしょ?
   …それもこれも妹ちゃんの頑張りの成果。早く帰ってこないかしら」

姉「うんうん、あの子絶対に喜ぶと思う!」

姉母「じゃあ、お隣さんに宜しく言っといて~」

姉「うん、わかった!」バタバタ


ピーンポーン



37 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 20:32:27 ID:LtAzaCGE


ピーンポーン


姉「こんにちは!おばさんいらっしゃいますか~」

ガチャ

友母「あら、お隣の…」

姉「こんにちは。今日はお届け…」

友母「……ヒッ」ガタガタ

姉「? あの…、お届け物の蒸しパンを母から」

友母「…あ、ああ。そうなの。ありがとう。お母さんにお礼を言っといて」

姉「はい。それでは失礼します」ペコリ

友母「…………」

友母「…あ、あの、確かに貴女の家も『施設行き』の方が」

姉「妹です。今頃何をやってることやら…。食べ過ぎてお腹壊してないか心配です」

友母「そ、そう…。なら見て欲しいモノがあるの」



38 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 20:45:26 ID:LtAzaCGE


姉「お邪魔します」

友母「…………」

姉「それで見せたいモノというのは、以前の友ちゃんからの届け物ですか?」

友母「……ええ」

姉「…何となく、おばさんの表情からあまり『良くないモノ』だったようですね」

友母「…………」ブルブル

姉「すいません。では、『とても大切なモノ』だったのですか」

友母「…………」コクリ

姉「分かりました。…それで、『目的のモノ』は友ちゃんの部屋で間違いありませんか」

友母「…………」コクリ

姉「おばさん、私は友ちゃんではないですけど」ギュッ

友母「あり…、ありがと」ガチガチ

トントントン

姉「それじゃあ、開けますね」



39 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 21:00:27 ID:LtAzaCGE


(独白)


友母「8月15日」

友母「あの日、私達夫婦は『施設』に呼ばれた」

友母「『久しぶりに我が子に逢える』」

友母「…その行為の、何と心震えたことか!」

友母「私達夫婦は、あまり学は無い」

友母「しかしその娘は、国のために働いて、国から期待を受けて生きている」

友母「真夏の向日葵に並ぶ笑顔と、天使に負けぬ声を持つ娘が、
   皆に認められ、皆のために生きている!」

友母「……ああ」

友母「今となっては貴重な化粧を惜しみなく、普段は着ない余所行きに着替えて、
   政府からの出迎えの車に乗り、堂々と『施設』に向かう」

友母「なんと誇らしかったことか!」



40 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 21:16:02 ID:LtAzaCGE


友母「しかし、『施設』で私達を出迎えたのは、痩せギスで暗い表情のいやらしい男」

友母「夫と私の姿を見るなり、ニンマリ腐った笑みを浮かべ、たった一枚の紙切れを渡したのみ!」


『お父さんお母さん、ごめんなさい。いってきます』


友母「震えた娘の文字!」

友母「そして続くニンマリ男の言葉、
   『もう帰って良いですよ。家には娘さんからの《プレゼント》が届けられたはずです』」

友母「…………」

友母「娘に会えず泣き崩れる私と、夫の怒声に『施設』は耳を貸さず、静かにシャッターが降りていきました」

友母「…愚かな夫婦が帰路についたのは、その日の琴座が南中を過ぎた頃でした」



41 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 21:36:53 ID:LtAzaCGE


友母「貴女の家に《プレゼント》を取りにいったのは、次の日の夜遅くでした」

友母「オルフェウスは愛する妻を、私達は愛する娘を冥府から取り返しにいくつもりで、
   夫婦は貴女の家に向かいました」

友母「…チャイムを鳴らし、数秒間」

友母「あの時ほど一秒を長く感じたことはありません」

友母「……1秒2秒」

友母「顔を覗かせた貴女は、純真無垢な笑顔で言うのです」


『あ、お隣さんでしたか。お久しぶりです。友ちゃんからお荷物届いてました』



42 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 21:38:51 ID:LtAzaCGE


友母「私達は、許しが欲しかったのかも知れません」

友母「貴女を精一杯抱きしめました」

友母「貴女に沢山キスをしました」

友母「そうすることで母親たろうと、そうしたことで父親たろうと……」

友母「……」


友母「けれども、神様は私達夫婦をお許しにはなりませんでした」



43 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 21:51:18 ID:LtAzaCGE


友母「女の私では抱えきれない大荷物の封を切ろうと心を決めたのは、
   その日、日付が変わろうか変わるまいかの時間帯です」

友母「…………」

友母「まず出てきたのは、梱包材と数枚のDVD。それから『必ず先にご確認下さい』の説明書」

友母「『ああ、これは娘からのビデオレターだ』と、夫婦は確信しました」

友母「私達夫婦は、指示に従いプレーヤーにDVDを差し込みました」

友母「…………」

友母「暫くの砂嵐の後、テレビ画面に娘の顔が映りました」



44 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 22:01:38 ID:LtAzaCGE


友母「貴女も御覧になりませんか」

友母「…親バカの私がいうのもなんですが、本当に綺麗なんです」
友母「目鼻立ちの整った顔に、恐らく初めてしたであろう薄化粧」
友母「…おっかなびっくり、そんな控え目な顔で微笑むあの娘は、
   本当に天使の生まれ変わりの様でした」

友母「けれども、くりっとした鳶色の眼は何か覚悟を決めていることだけは分かりました」

友母「…やがてカメラはズームアウトし、娘の肩までを映し出します」

友母「この間、娘は一言も喋ってくれません」

友母「ただ困った様に、泣きそうに微笑み続けるだけです」



46 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 22:12:54 ID:LtAzaCGE


友母「やがて時間と共に、次第にズームアウトは続きます」

友母「快活な娘は高級なビスクドールの様に、
   可愛いらしくも微笑ましい格好を身にまとい、清楚に佇んでいます」

友母「…………」

友母「そして次に、男が画面に映り始めます」

友母「残念ながら男が話す言葉が何語かは解りません。
   …ただ、男が言葉を発する度、娘の笑顔が非常に強張っていくことだけは分かりました」

友母「…娘は気丈でした」

友母「恐らく私達に心配させぬ様に、必死になって微笑んでいるのであろうことが見て取れました」



48 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 22:41:20 ID:LtAzaCGE


友母「…遂に部屋の全貌が明らかになります」

友母「古風な彩りに、王公貴族に相応しい立派なベット。娘の枕元には、大きな熊のぬいぐるみ」

友母「…とても娘の趣味とは思えません」

友母「やがて男は、娘に何かを命じます」

『~~』

友母「娘は、ここで初めて声を出してくれました」

友母「それは、何処かの国のお伽噺でした」

友母「ゆっくりと、幼子を寝かしつける澄み渡った声で、娘は物語を紡ぎます」

友母「…聞いたことの無い遠くの国の出来事で、一篇一篇は短く、夜語り、千日一夜物語のように」

友母「…………」



49 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 22:55:29 ID:LtAzaCGE


友母「それから、1つの話が終わる度、男は娘に掛けられたシーツを一枚一枚脱がしていくのです」

友母「…………」

友母「シーツが終われば、次は娘の衣服にも男の手は伸びました」

友母「男のこの『作業』の間、ずっと娘は羞恥に顔を赤く染め、静かに物語を読み上げ続けます」

友母「…………」

友母「やがて娘がブカブカのフランス人形から、下着だけの半裸になるころ、やっと私達は娘の異常に気づきました」

友母「何故娘が抵抗しないのか、何故男にされるがままなのか」

友母「…………」

友母「もうお分かりでしょう。


友母「抵抗するも何も、娘は四肢自体が存在しない肉達磨だったのです」



50 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 23:13:34 ID:LtAzaCGE


友母「…いえ、上半身は二の腕半ばで、下半身は太股半ばで」

友母「切断面が見えぬよう、布で覆われながらも娘は痛々しい笑みを浮かべていたました」

友母「…そして、娘の『お話』には涙声が混じり途絶えがちになります」

友母「けれども、その都度男は娘に何かを囁きかけ、『お話』は最後まで紡ぎ続けられました」


友母「…………」



51 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 23:28:18 ID:LtAzaCGE


友母「物語が終わると、後には泣き顔で芋虫の様に跳ねる全裸の娘と、例の男だけが残りました」

友母「…………」

友母「娘は何度も母国語で、『死にたい』と繰り返し呟き、暴れています」

友母「そんな娘を、男は無表情で罵声を浴びせながら何度も殴りつけました」

友母「…娘が静かになると、今度は娘の首に首輪をつけ、猫の耳のついたカチューシャを娘の頭に乗せました」

友母「そして娘にカメラの方を向くように命じると、
   今度はリードを首輪につけ、乱暴に娘をベットから引き摺り下ろし、部屋の中の散歩を始めました」

友母「…娘は耳まで赤くなりながらも懸命に男の後に続こうとしますが、
   不揃いな手足ではどうすることも出来ません」

友母「何度も転びながら、部屋の中をグルグルとまわり続けます」



52 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/25(水) 23:50:57 ID:LtAzaCGE


友母「男は娘の『散歩』に飽きると、根本に子供の握りこぶし大の球体が3つついた尻尾を、
   娘の肛門に押し当て、ゆっくりと差し込みました」

友母「…そうして苦痛に歪む娘の顔を見ては、あざけ笑うのです」

友母「1つ目の珠が入ると、娘は哀れみと懇願の表情を浮かべ、男を見上げました」

友母「しかし男はあまり気にした様子もなく、楽しげに娘の怯えた表情を楽しむのです」

友母「…2つ目は強引に、3つ目の珠は一旦1つ目を引き出してから一気に貫きました」

友母「娘は気を失ったのか、半開きの口を痙攣させながら、
   涙と涎まみれのままその場に崩れ落ちました」

友母「そうしている間にも、男は自らの逸物を取り出し、娘の口にお構い無しに突き立てました」



53 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 00:10:19 ID:/1EWc4iU


友母「…まだ年端もいかぬ娘は、苦痛と恐怖で声ともならぬ呻き声を上げ、目を白黒させていました」

友母「娘の肩まで伸びた美しい金髪は忽ち吐瀉物と唾液にまみれ、
   高そうな絨毯は娘の尿で汚れていきます」

友母「…やがて男が果てると、娘は塞き止められていた内容物を盛大にぶちまけ、
   嗚咽を漏らし、『殺せ殺せ』を連呼するようになりました」

友母「男は喚く娘の頭を掴み挙げると、吐瀉物の海に、娘の顔面を何度も擦りつけました」

友母「そうして、娘にその舌を使っての床掃除を命じ、
   精液とも胃液ともつかない『なにか』を処理させていきました」

友母「…全てを自分の中に収めた時、娘は精魂を尽きた虚ろな眼差しで宙空を見つめ、
   その顔を男がズームするところで、場面が切り替わります」



54 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 00:27:33 ID:/1EWc4iU


友母「その後男は、鈴付きのピアスを娘の色素の薄い乳首に穿ち、
   …女性器の中心にも指輪大のピアスが貫かせました」

友母「…当然麻酔をかけた様子もありません」

友母「…………」

友母「娘の声は嗄れ、もう悲鳴とも絶叫かも解らぬ声になった頃、男は娘に歌を唄うように命じました」

友母「何の歌かは不明ですが、曲調などから、いつもの娘のアドリブの歌詞だったのだと思います」


『お父さんお母さん、ごめんなさい。いってきます』


友母「あの歌詞は、あの手紙の通りでした」



55 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 00:41:53 ID:/1EWc4iU


『お父さんお母さん、ありがとう。こんな私を産んでくれて…』


友母「女の喘ぎと、男の圧し殺した息づかいの中、娘の唄は響き続けます」


『私は両親に恵まれました。
 私は友人に恵まれました。
 私は良き人に恵まれました。

 育てて下さってありがとう。
 見守って下さってありがとう。
 今となってはこんな身体の私ですが、それでも、私は幸せを見つけることが出来ました。

お父さんお母さん、ありがとう。いってきます。』


友母「…そして最後に、『ありがとう』と一言呟き、焦点の合わぬ娘が弓なりに仰け反ると、
   後にはもう何も映してくれませんでした」

友母「愚かなる夫婦の、愚にもつかぬ独白、ご清聴に感謝を!」



57 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 00:55:34 ID:/1EWc4iU


(再び 8月31日)


姉「…それではやはり」

友母「ええ、ご想像の通り、二重蓋の下からは娘の手首と足首の悪趣味な剥製が見つかりました」

姉「…………」

友母「妹ちゃんは、《食》を選んだけれど、それは一体…」

姉「…ありがとう御座います。御二人の生々しい傷痕を見て、
  私のやらねばならぬ事、進むべき道が見つかりました」

友母「それは何より…」

姉「いえ、それと1つお願いがあります」

友母「何か私に出きること?」

姉「…友ちゃんの『ビデオレター』を捨てないであげて下さい。
  きっと貴女への感謝の告白だったのだと思います」

友母「…………」コクリ


ギュッ…ナデナデ


その日の夜、友母の家には青ツナギの集団が押し掛け、友母は行方不明の扱いとなる。



59 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 01:22:14 ID:/1EWc4iU


(同年 9月21日)


先生「姉君、やはり決心は堅いのかね」

姉「はい。私は妹をあの地獄から救い出す道を選びます」

先生「…………」ジロリ

姉「…………」キッ

先生「…分かった。こちらが『施設』転入の為の書類だ」

姉「ありがとう御座います。この御恩はいつかお返し致しますね」ニコリ

先生「…………」

スタスタ…ガラリ

先生「待ちたまえ」

姉「まだ何か」

先生「…ああ、こちらの書類にもサインしていくと良い。きっと君の役に立つ」

姉「どうも」



60 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 01:35:53 ID:/1EWc4iU


(9月23日)


この日、2つの書類は無事に政府によって受理された。


1つ目は、『施設』転入のもの。
姉はアンケート表の配布を待たずして、当日役場にて妹と同じ《食》に○を付け、
晴れて『施設』内部への潜入に成功する。


2つ目は、『婚姻届』

既に男性教諭の印が押されていたため、彼女は近所の犬の名前と肉球スタンプを押して提出。

初の異種間結婚として、男性教諭は歴史に名を刻むことに成功した。

(尚10月3日の朝刊に大々的に取り上げられたが、
 翌4日に離婚届けが提出される。それ以降、男性教諭は行方不明扱いになる)



61 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 01:52:18 ID:/1EWc4iU


(10月1日)


指揮官
「…貴女が第6期入隊の姉君か」

姉「はい、姉と申します」ニュウタイ?

指「分かった。君は非常に優秀な人材と学校側より連絡が入っている」

姉「……いえ、そんな」

指「謙遜しなくて良い。政府は君の入隊先を心待ちにしていた」

姉「はい」

指「そして、君に入隊したい希望先があるのだとも聞いている。…それは何処かね?」

姉「い、妹と同じ勤務先を」

指「ふむ、《メイド部隊》か。まあ適材適所と言えん事もない」

姉「それでは!」ブタイ?

指「…残念ながら、私が如何に権力があろうと、
  妹君のいる第4期生の小隊と同じにしてやることは出来ぬ」

姉「……」ショウタイ?



62 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 02:12:50 ID:/1EWc4iU


指「不満そうな顔だな。
  …もう少しポーカーフェイスの技術を学ばねば《立派なメイド》とは呼ばれんぞ?」

姉「…し、しかし」

指「馬鹿者おおおッッッ!」

姉「……ビクッ」キーン!

指「しかしも案山子も駄菓子もあるものかッ!!」

指「…君は誰しも、『白衣を着れば《女医》』、
  『ナース服を着れば《看護師》』に為れる危険分子かねェッッ!!!」

姉「い、いいえ…」

指「うむ、君が完璧な市民であることを期待する。…良いかね、《メイド》とは19世紀の英国に…」


クドクド(中略)クドクド


指「…以上である」

姉「ご教示ありがとう御座いました」



63 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 02:21:59 ID:/1EWc4iU



テクテク


姉「つまり、要約すれば…」


・《現代メイド》発祥の地、日本において、何故、《ユキ・コトノミヤ》以上の《メイド》が誕生しにくいか。

・《メイド服》を《割烹着》に変換すれば、
  実は【男性から見た理想の女性像】は古今東西変化してないのではないか。

・メイドとウェイトレスの違いとは何か。

姉「…この3点をレポートにすれば、きっと何か見えてくるに違いない」

姉「…………」カリカリ

姉「…………」フム

姉「……Zzz」スースー



64 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 02:40:13 ID:/1EWc4iU


(独白)


妹「私は妹」

(いえす、あいあむりとるしすたー)

妹「生来引っ込み思案で、姉依存の強い私は、配置先の教官から姉離れの特訓を命じられた」

(いえす、あいあむりとるしすたー)

妹「母国を離れて3日。早くも姉さんが恋しい」

(いえす、あいあむりとるしすたー)

妹「だが、まだ会うことは許可されていない」

(いえす、あいあむりとるしすたー)

妹「…今はこうして、私はスマトラの戦場を駆ける一介の《メイド》に過ぎない」

(いえす、あいあむりとるしすたー)

妹「それじゃ姉さん、今日も行ってきます」


妹《…いえす、あいあむりとるしすたー》



65 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 02:58:15 ID:/1EWc4iU



妹「…スマトラの朝は早い」

妹「経済悪化の煽りを受けた韓国と豪の二国間戦争の後、
  一部脱走兵らがインドネシア各地で武装蜂起を起こした発砲音こそ、私達の朝の《任務》だ」

妹「相手が元豪兵ならば話が早い」

妹「…単純に『一撫で』するか、
  数が多ければ最寄りの多国籍軍駐屯地までの伝令を走らせれば問題は解決する」

妹「問題は、相手が元韓国兵だった場合だ」

妹「こちらは、まず熱意の方向性が違う。彼らは略奪の第一選択が『女』であることが多い」

妹「それも年齢制限や倫理観が崩壊した人間が多く、
  彼らと出会えば、《即時捕縛》か《即時射殺》が許可されている」


妹「…先のベトナム戦争のトラウマは、何処の国も同じらしい」



66 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 03:18:57 ID:/1EWc4iU


妹「勤務先の文句は山とあるが、誉めるべき点も無かったとも言い切れない」

妹「私は、幼馴染みの幼とこのスマトラで再開を果たした」

妹「聞けば、意外なことに、彼女は《メイド部隊》配属以前から、このインドネシアに駐留していたらしい」

妹「彼女は頭が良く、経済危機以降も昆虫学者を目指し、
  第1期生に混じってボルネオ島で臨戦研修を受けていたのだそうだ」

妹「初任務の私にとって、彼女の存在を得たことは生還率を大幅に上げるに違いない」

妹「…………」

妹「それに頭が良く、沈着冷静な姿は姉さんの姿を彷彿させる」

妹「健康的な日焼けと少し汗臭い点は違うけれど、彼女の隣は心地好い」


妹「…毎晩、彼女の枕と自分の枕を交換しているのは内緒である」



67 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 03:30:17 ID:/1EWc4iU


妹「スマトラの昼は地獄だ」

妹「近くの川からの羽虫が酷く、暑さに負けて不衛生な水を飲めば命取りになる」

妹「幸い、本日より多国籍軍内の青ツナギの好青年から蚊帳を借り受けることに成功」

妹「これを受けて、防虫スプレー臭いメイド服を脱ぐことにも成功し、束の間の涼を取る」

妹「…正直、故障の多い発電機よりも、蚊帳の方が我ら《メイド部隊》に貢献していると思う」


妹「尚、発電機の製造元はSOXYだったことを追記しておく」



68 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 03:48:23 ID:/1EWc4iU


妹「スマトラの夜は長い」

妹「…我ら《メイド部隊》の主目的は、現地の治安維持と意気向上らしい」

妹「夜伽関係は、母国と現地女性との交渉が上手くいっておらず、
  専ら夜泣きの対処と見回りだけで1日を終える」

妹「…………」

妹「その一方で、脱走兵らによる夜襲対応も任務である」

妹「圧倒的火力を持って殲滅し、不可能と判断すれば逃走と本部への報告が義務となる」

妹「現状、総勢12名の《メイド部隊》は大した戦果もなく、同時に被害もない」

妹「なにも無いことは、退屈ではあるか平穏である」


妹「…尚、強制夜伽は、延髄蹴りをもって返答としている。男性諸君は注意されたし」



69 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 04:09:39 ID:/1EWc4iU


(11月1日)


姉「祝、メイド研修1ヶ月」

姉「…………」

姉「《メイド》という職業の特殊性など、レポートを仕上げるまでもなく、着任当初から理解していた」

姉「…コードネーム《マホロ》《ユキ・コトノミヤ》《エマ》など」

姉「礼儀正しさ、清潔感、包容力のある身のこなし」

姉「彼女らから得た《メイドスキル》は数知れない」

姉「…偉大な日本の先達に対して、ただ頭を下げる以上の作法を私は知らない」

姉「…………」


姉「私の研修先は、日本の東京都、神奈川県、兵庫県の3ヶ所の中から選ばれるらしい」



70 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 04:27:37 ID:/1EWc4iU


(同年 11月3日)


姉「…ここが日本か」

姉「やはり、【Fate/Zero】の再放送で兵庫県を選ぶ当たりに、
  私が『日本通』を名乗ぬ由縁があるに違いない」

姉「ふむ、待ち合わせは三ノ宮の画材屋か」

姉「…こんな地下街は我が国では珍しい」

姉「それに見る人見る人、皆が若い。日本は高齢化社会でなかったのか。信じられぬ」

姉「ああ、すいません」

姉「…うむ、ぶつかっても率先して元気に謝れば事なきを得る」

姉「『良くぞ日本人に生まれけり』、とは実に上手い表現だと思うぞ」

姉「あまり時間が無いな」


姉「ああ、神戸牛という贅沢は言わぬ。…せめてハイカラうどん、ぼっかけを食しておきたかった」



71 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 04:50:38 ID:/1EWc4iU


【画材屋・銀杏と茶碗蒸し】


姉「失礼する」

店主
「これはこれは…。神戸は古くからの洋人街だけど、こんな小さなお客様は初めてだ」

姉「人を見かけで判断するな。例え小さくとも、私は立派なレディでありメイドである」

店「そうだね。僕も(21)の一派閥を預かる身。…年齢的特徴に基づいた発言、お詫び申し上げる」ペコリ

姉「…いや、私も多分店主の立場であれば驚くと思う。こちらこそよしなに」ペコリ

店「それで本日のご用件は」

姉「待ち合わせを」

店「何だ、『異国の旅行者』とは君のことかい」

姉「すまぬ、本来なら筆の1本を仲介の礼として買うのだが、ここの筆は皆高価だ」


店「いいさ、気にするな。お礼なんて青ツナギの青年からもう頂いている」



72 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 05:09:43 ID:/1EWc4iU


店「それより、何かお腹に入れないかね」

姉「御厚意に感謝する」

店「君の日本語は、まるで古の武将のようだ。可愛らしい身なりとは裏腹に、随分と厳めしい」

姉「…変、だろうか」

店「いいや、それが君の味というものさ。…少なくとも私は好感を覚える」

姉「そうか、なら良かった」

コポコポ…


店「ほら、こちらにどうぞ」


姉「ええと…、確かこれは今川焼き?」

店「ふふふ、多分兵庫県に限れば、これは御座候という。今川焼きと同じ回転焼きの一種だね」

姉「…ござそーろー?」

店「そうそう、御座候でござそーろー」

姉「…………」ハムハム

店「むむう、ジャンボ餃子もあるけど、お茶受けにはならないかなあ…」



73 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 05:35:14 ID:/1EWc4iU


カランコローン


男「…失礼する」

店「やあ、今日は千客万来だね。何かご用かい」

男「ん、ご推察通り」

店「君の待ち人はそこで昼飯を食べてる。良かったら君も食べてくかい?」

男「…それなら台所を貸していただけませんか?」

店「その心は?」

男「ん、姫路駅の名物『えきそば』をば。当方つまみの穴子ずし、食後の火打焼きも完備」

店「さすがご当地フリーク」

男「…単にミーハーなだけです」

店「ご謙遜を。是非とも御相伴させとくれ」

男「いつも御世話になってますし。こんな些細な物で宜しければ」

店「定住生活者は他の土地に憧れるもの。
  次は姫路城を担いで来たまえ。…そうすれば僕は君に愛を語るだろう」


男「ああ、遠慮しときます」



74 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 05:53:54 ID:/1EWc4iU


【新快速・播州赤穂行き】


姉「知ってるか、神戸の夜景は100万ベリーなんだそうだ」

男「ん、そだな」

姉「知ってるか、神戸の中華街は4000年の歴史があるそうだ」

男「ん、多分な」

姉「知ってるか、六甲山には役行者という灯台守りがいて、山に訪れた人間を歓迎するらしい」

男「…ん、それは心霊スポットだから、あまり近寄らない方が良い」
姉「むう、つまらぬ」

男「すまんな。去年、神戸のチーム《リース・ウェン》が配置移動になり、
  今回の新人研修も移動したんだ。悪いが諦めてくれ」

姉「…いいや、気にしないでくれ。『御主人さま』」

男「…っっ」



75 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 06:04:27 ID:/1EWc4iU


ヒソヒソ

乗客A
「…変質者かしら。あんな小さな子にメイド服なんか着せて」

乗客B
「やっぱりあれよ!オタク!ああいうのがいるから、犯罪が起きるのよ!」

車掌
「そうですよね~。鉄道警察呼びましょうか、未然に防ぐのが我らのジャスティス」

乗客CDEF
「「……チッ(舌打ち)」」

青ツナギ
「…………」ニヤリ


姉「どうした『御主人さま』。頭を抱えてないで、次の行き先を教えてくれ」

男「すまん、『御主人さま』は車内で禁止。
  周りにいらん誤解を生むことは好ましくない。何か別の呼び名を頼む」

姉「…わかった」



76 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 06:27:56 ID:/1EWc4iU


【相生駅のりかえ】


姉「休まずとも平気か、顔色が優れぬぞ」

男「ん、んんん」

姉「…先刻の妙な黒服にイチャモンつけられたのが原因か」

男「…………」

姉「だとすれば申し訳ないことをした」

姉「そなたは私に劣情を抱いておらぬ。…そなたは私に『御主人さま』と呼ばせて興奮したりせぬ」

姉「みんなみんな、私が初めての日本に浮かれていたことが悪いのだ」

姉「すまぬ、私はそなたに迷惑をかけた。これでは《メイド》失格だ。
  …ヤポーン・スタイルでは、こんな時ハラキリかシュットウせねばならんと聞く」

姉「そこのコーコーセー、近くに六条河原は無いか」

高校生
「…………」キョトン



77 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 06:49:39 ID:/1EWc4iU


男「…ん、失礼」

高「…………」キョトン

男「や~、突然ごめんよ。この子時代劇で日本語覚えたらしくて、
  やれ富士山だ、やれ熊野古道だの見せろって煩いんだ」

高「…………」ナットク

姉「?」

高「いいかね、お嬢さん。六条河原とは京都に存在するかつての刑場跡のことで、
  今いっても大してみるべき点は少ない。…ならば代わりに嵐山方面の鳥辺野には…ウンタラカンタラ」

姉「!」

男「…いかんな、踏んではならぬ地雷を踏んだやも知れぬ。姉君、戦略的撤退の判断を…」

姉「委細承知!」スタコラサ


高「…二尊院と落柿舎について…ウンウンチクチク」



78 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 07:10:30 ID:/1EWc4iU


今更ですが、かなりの誤字脱字申し訳ない…。

あとビグロ注意。

一応、実際の土地名は使ってますが、人名や店名はテケトーです。

どれぐらい自分がエロいけるかの実験的作品です。

金髪ロリもの。

尚、筆者は狐色ぐらいの色合いと、例のモフモフ感の為に命を捧げたい生き物です。

本日もお仕事頑張って参りましょう…ショキショキ!



79 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 07:49:53 ID:/1EWc4iU


(佐用駅)


姉「ここは何処?」

男「私は誰だ?」

姉「冗談抜きで質問だ。ここが今回の研修先か?」

男「ん、まあ焦るな。今日はこの町に一泊する予定だ」

姉「なるほど。私の国とも町の空気の感じが似ている。意外と親しみ易いかも知れん」

男「そりゃ結構。…タクシーを呼んでくるよ」

姉「また移動か」

男「否、ほんの15分くらいだったと思う。疲れたら眠っても良いぞ」

姉「残念ながら、『御主人さま』より先に寝るメイドは存在しない」

男「職業熱心大いに結構。…けど、解らんかも知らんが
  『御主人さま』もお休みしてるんだ。張りつめ過ぎると死ぬぞ」

姉「…馬鹿にするな」



80 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 08:42:43 ID:/1EWc4iU


ブロロロロロ…


姉「……クークー」

運転手
「こんな片田舎に外人さんとは珍しい。
 兄ちゃん別嬪さんだからって、変な場所に連れ込むなよ」ガハハ

男「…………」

運「冗談だよ冗談。あんたらもう神戸の方は見てきたらしいじゃねぇか」

運「今の神戸はリンス・シャンプーだか何だかのが古参外人部隊が引き上げて以降、荒れ模様が続いている」

男「…下手に手を出さずに、こっちに来て正解だったわけか」

運「そうだとも」

男「だったら、三ノ宮を合流地点に選んだのは失敗だった可能性が高いな。この娘は顔を覚えられていた」

運「今さらだろ。それに安心しろ、その点は画材屋の兄ちゃんが手を回してくれている」



81 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 09:01:51 ID:/1EWc4iU


男「どういうことだ?」

運「本人曰く『只の気紛れ』らしいが、
  …奴は昼間、(21)同盟を使って兵庫県全域の裏組織に対して異常な圧力を加えている」

男「…………」

運「(21)同盟は、ほんの偶然、経済危機後に明るみに出た新規の組織だが、
  もっと前から何度も名前を変えて日ノ本に存在していたらしい」

男「…(21)同盟、か」

運「そんなわけで、今や兵庫県全体が肩入れしているといっても過言じゃない」

運「明日には西日本全域に圧力がかかる予定だから、
  逆にその娘の顔自体が、地域安全フリーパスになるってなもんだ」

男「…………」


運「…さてと、そろそろ目的地に着くぜ。荷物と起こす準備を忘れんなよ」



82 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 09:20:09 ID:/1EWc4iU



(西播州天文台)


男「さてと、お姫様そろそろ起きて頂けますか」ユサユサ

姉「…………」

男「おい、自称メイドの姉殿。起きれ起きれ」ペチペチ

姉「……Zzz」

男「仕方ない、今日の所は大目にみてやるか」

女「そうですね。きっと慣れない長旅だったのでしょう。私で宜しければお手伝い致しますよ」

男「ああ助かる。悪いがその子をロッジまで運んでくれ。こちらはこちらで研修機材を担がにゃならん」

女「承知致しました」スタスタ

男「…………」オイヤッサ


エッチラオッチラ



83 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 14:29:02 ID:/1EWc4iU


男「時に…」

女「何か」

男「どうしてこんな時間帯に、君の様な若い女性が一人で彷徨いていたんだ?」

女「天体観測に偶然訪れていた奇妙な女、では説明になっていないと」

男「…ん、無理だろ」

女「ですね」クスクス

男「話す気は無さそうだな」

女「いえいえ、そうでは御座いません。申し訳ありませんが、明日の朝食時にでも御説明致します」

男「…………」

女「それで、今夜の夜具は何人分御用意すれば良いのでしょう」

男「3人分」

女「…ああ、紳士の方で御座いましたか」スチャッ

男「ん、何か物音がしたような」

女「紳士を殺す理由はこちらにはありません。そこの草陰の護衛に、武装解除を命じました」

男「既に包囲されてるのか」ハァ



84 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 14:57:46 ID:/1EWc4iU


【同年 11月4日】
(某山中のロッジ)


女「それでは今日より新人メイド研修を行います」

女「私は《メイド部隊》極東支部の支部長補佐、コードネーム《エルシェラント・デモン・アノイアンス》」

姉「…………」ゴクリ

男「知ってるのか」

姉「顔だけを。その名は最強にして最悪、我が国が誇る第1級メイドの中の1人だ」

男「ん、要するに凄腕ってことで良いのだな」

姉「…………」コクリ

男「分かった。信用しよう」



85 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 15:28:33 ID:/1EWc4iU


男「それでは詳しい作戦説明に移る」

男「今回の任務では、姉君の本国からの連絡が来るまで疑似家族として現地に留まり、
  姉君のメイド任務の学習に努める」

男「…日ノ本はほとんど一般人が銃器を持たず、当然、我々の携行する武器にも制限がかかる」

男「柔軟な対応が求められるが、ここでの訓練は必ず君の役に立つものとして欲しい」

姉「イエス、マイマスタ-」

男「エルシェラントさん。既に『御主人さま』がいる君には、今回、この子の『従姉』として補佐して欲しい」

従姉「承りました」



86 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 15:40:56 ID:/1EWc4iU


男「それでは質問が無ければ、これから現地散策に向かう」

エル「…それではお車の手配を致して参ります」


ガチャリ、パタン


男「それから、友母さんの件は既に『適切な』処置が取られたと聞く」

姉「!」ビクッ

男「…君の本心が何処にあるかは知らん。
  だが、今はつまらない事を考えるな。自分のことだけに集中しろ」

姉「…………」

男「それから俺のコードネームは《兄上》とする。宜しく頼むよ」

ポン、ナデナデ


姉「…分かりました。『兄上』」



87 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 15:57:17 ID:/1EWc4iU


【スマトラ島従軍日記】


妹「スマトラの密林は深くて暗い」

妹「…昨日、幼から連絡が入ったのだが、どうやら北の集落が脱走兵の襲撃を受けて壊滅したらしい」

妹「防衛隊は奮戦したものの、交戦から15分も持たずに連絡が途絶え、
  多国籍軍の増援が駆けつけた時には村人の死体ばかりが転がっていた」

妹「遺体は男性が殆どで、女性の方は拉致された点から、元韓国籍の脱走兵集団の仕業と推測される」

妹「我ら《メイド部隊》にも、これから件の集落に向かい、
  遺体の埋葬作業を手伝よう要請がきているらしい」

妹「『にらみ合い』で終わった戦争の尻拭いとは、全く手間を取らせてくれる」



88 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 16:15:28 ID:/1EWc4iU


妹「だが、全く暗いニュースばかりでは無い」

妹「遂に、私にも部隊名《ロベルタ》を名乗る権利が与えられた」

妹「私が黒髪ではないのが残念だが、それでも嬉しい。幼との仲も良好」

妹「さて、そろそろ彼女との交代時間になる。本格的に暑くなる前に、埋葬作業に勤しもう」


「いえす、あいあむりとるしすたー。貴女の妹は今日も元気です」



89 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 16:28:37 ID:/1EWc4iU


【スマトラ島従軍日記2】


妹「スマトラの飯は美味い」

妹「北の集落が襲撃を受けてから、今日で一週間」

妹「我々の懸命の捜索で、暴行を受けた女性の発見が相次いでいる」

妹「想像以上に死者が少ないのは、繰り返し使える様に一時解放するからなのだそうだ」

妹「…全く吐き気がする」

妹「被害女性は膣洗浄で肉体的な回復は認められるが、PTSDばかりはどうしようもない」

妹「我々チーム《ロベルタ》も、彼女らの突発的な自殺を防ぐべく、相談役に徹している」

妹「己の無力さが恨めしい」



90 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 16:38:14 ID:/1EWc4iU


妹「こうして食事の話題ぐらいしか明るいニュースが無いのは、本当に辛いことだ」

妹「我々は昼間、余裕のある笑顔をもつことが義務付けられている」

妹「…実はこれが結構辛い」

妹「自分の『御主人さま』が居る仲間はまだ良い」

妹「心の支えのない独り者の野良メイドは、夜中にひっそりと泣くしかないのだ」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
 貴女の妹は来月の体重測定が心配です。



91 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 17:08:18 ID:/1EWc4iU


【スマトラ島従軍日記3】


妹「スマトラの雨は優しい」

妹「本日未明、遂に私達《ロベルタ》は、初の夜間戦闘を経験する」

妹「北の集落の壊滅以降、我々は集落内に入念な防衛陣地を構築し、何度も綿密な訓練が行われていた」

妹「小銃火器程度の武装で我々《ロベルタ》陣地を突破しようとは、実に片腹痛い」

妹「備え付けの重機関砲を前にして、無策の人海戦術とは、日露戦争時の旅順要塞を知らないと見える」

妹「気づけば、我々は日頃の鬱憤を彼らにぶつけていた」

妹「モグラ叩きの様に、相手が飛び出す度に火線を集中させ、確実に撃ち倒す」



93 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 17:23:55 ID:/1EWc4iU


妹「この一発は、誰にも頼れない我々の分」

妹「この一発は、明日の戦場掃除の前払いの分」

妹「この一発は、姉と離れて暮らさねばならぬ私の分」

妹「たった12名の《ロベルタ》陣地を相手に、敵勢が撤退を始めたのは夜明け近くのこと」

妹「心地好い爽快感と徹夜の疲労感に包まれる中、我々は勝利しました」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
 貴女の妹は一杯のお水を所望です」



94 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 17:40:20 ID:/1EWc4iU


【スマトラ島従軍日記4】


妹「スマトラのクリスマスは切ない」

妹「初戦闘から1ヶ月、戦場のメリークリスマス」

妹「あれから、我々《ロベルタ》のもとには各国の記者団が訪れ、その対応も我々の任務となった」

妹「…我々が女性ばかりのチームなためか、
  男性記者はそれなりに礼儀正しく、鬱陶しい質問責めに我慢すれば良い」

妹「だが、女性記者の厚かましさは銃殺ものだと思う」

妹「同性であることを盾に、何かあればスクープスクープと叫び、
  我々のプライベート・ルームにまで立ち入ろうとする」

妹「…さすがに失礼かと、丁重にお断りすれば、
  やれ『生意気』だの、やれ『躾がなってない』だの喚き散らす」



96 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 17:49:22 ID:/1EWc4iU


妹「それからイエロー・ペーパーの面倒臭さには閉口する」

妹「我々を散々アイドル扱いした後に、『御主人さま』との写真を掲載し、
  《熱愛発覚!》だの《裏切られた!》だの、好き勝手に書き立てる」

妹「…………」

妹「…残念ながら、私個人の扱いは小さい。多分姉さんは私が戦地にいることを知らないのだと思う」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
 貴女の妹は、素敵な『御主人さま』を随時募集しています。(※要面談)」



99 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 18:17:14 ID:/1EWc4iU


【スマトラ島従軍日記5】


妹「スマトラの新年は寂しい」

妹「今日の朝、ジャワ島の多国籍軍施設に向けて脱走兵達の一斉攻勢があったらしい」

妹「『…らしい』とは、以前のSOXY製発電機に続き、無線の調子があまり宜しくないことにある」

妹「現在、最寄りの多国籍軍陣地に幼が確認を求めているが、回答は無い」

妹「ここスマトラ島でも、『脱走兵に紛れて正規兵も何か工作活動を始めたらしい』
  という未確認情報がまことしやかに囁かれている」

妹「…………」

妹「…中国内戦が終息し、大連の石油施設が再建でもされない限り、
  このインドネシアの混乱はさりそうにない」



100 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 18:42:00 ID:/1EWc4iU


妹「そういえば、最近になって一通のファンレターが手に入った」

妹「本来ならば、検閲処分の対象となる手紙は、例の青ツナギの好青年経由で手渡された」

妹「内容は、私と私の仲間達の安全を祈願する拙い文章」

妹「世の中、奇特な人間がいるものだと呆れていると、手紙の消印は未スタンプのままでした」

妹「…………」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
 貴女の妹は、生まれて初めての恋をしました」



101 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 18:59:09 ID:/1EWc4iU

【スマトラ島従軍日記6】


妹「スマトラの土は苦い」

妹「…連日、ジャワ島で激戦が続いている話を知らぬ者はいない」

妹「豪韓の正規兵の噂は、もう限りなく黒に近いことを、誰もが知りつつ、誰もが口にしない」

妹「…我が母国に言霊の文化は無いけれど、それでもジンクスの様なものだろう」

妹「脱走兵達の襲撃も、以前の散発的な行動から、連夜の一撃離脱へとシフトしている」

妹「我々《ロベルタ》の軍事物質も補給する先から消費している感が否めない」



102 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 19:14:19 ID:/1EWc4iU


妹「誰も諦めないこと、きっと私達は繋がっている」

妹「…………」

妹「…全く関係ありませんが、私は青ツナギの好青年に頭を撫でて貰うことに成功しました」

妹「そして、幼からは日本のバレンタインの風習も教えて貰いました」

妹「軍用チョコバーはあまり美味しくないので、別ルートを開拓中」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
 貴女の妹は、短期決戦型の人間のようです」



103 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 20:06:53 ID:/1EWc4iU

【2015年 1月3日】
(佐用町の一軒家)


姉「…………」パタパタ

兄「ん、姉君もメイド服がなかなか板についてきたな」

従「ええ、炬燵の魔力に屈することなく、機敏に動いてくれます」

兄「君は働かないのか?」

従「では、みかんの皮剥きと白筋に取りかかります。おひとつ如何です?」

兄「……結構」ヤレヤレ

カチャカチャ

姉「兄上、机の上を片してくれ。雑煮が置けない」

兄「ん、すまんすまん」

姉「熱いからお気をつけて」

コトリコトリ



104 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 21:03:45 ID:/1EWc4iU


ニュースキャスター
『…本日、豪韓の海軍がジャワ島沖にて集結しました』
『両軍は互いに威嚇射撃を行なった後、インドネシア政府の仲裁によって引き上げました』
『現在の所、負傷者などは確認されていない様子です』


兄「従姉君、真実は?」

従「…双方の被害が軽微だったため、日本のマスコミが情報を遮断しただけです」

兄「身も蓋もないな」

姉「?」

従「もうすぐ国連では、両国に対する経済制裁が可決される見通しです」

従「今回の件は、焦ったどちらかの国が行なった突発的な戦闘に分類されるでしょう」

兄「…………」ドモ

従「…………」イエイエ



105 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 22:23:45 ID:/1EWc4iU


マクマク…


姉「…お節料理も残り少なくなった」

兄「毎日食ってるからな。いつかは無くなるもんさ」ハクハク

姉「何か作ろう」

兄「いい。食っちゃ寝するのが日本の伝統的正月だ」

姉「…そうか」

兄「そう落ち込むな。《メイド》の道も一歩から。…今頃妹さんもどっかでのんびりしてるさ」

姉「…………」キッ
従「…………」ピクッ

兄「怖いな」クスクス

姉「…………」

兄「従姉君、頼みがあるんだが良いだろうか?」

従「…はい」

兄「この子の妹らしいんだ。君の権限で引き会わせてやるにはどうすれば良い?」

従「…お兄様。それは無理です」



106 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 22:39:07 ID:/1EWc4iU


兄「それは任務としての《お従兄様》か、《エルシェラント・デモン・アノイアンス》としての《お兄様》か」

従「…後者です」

兄「ありがとう。…ならば此方も『無理に』事を進めてもロクな結果に繋がらんな。悪かった」ペコリ

従「いいえ、賢明な判断感謝致します」ペコリ

姉「…………」

兄「…………」
従「…………」

姉「兄上、すまないが何を言っているんだ?」

兄「教えても?」

従「《従妹》の教育を、貴方にお願いしたのは私達の側です。私の許可を得る必要性はありません」

兄「…了解」



108 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/26(木) 23:45:48 ID:/1EWc4iU


(ある男の独白)


「3年前、戦争があった」

「…いや、戦争ならば遥かな昔から何度となくあった」

「彼らはビル風の街を出で、自らの同類を探してネットの海に対して振興を繰り返した」

「運に恵まれぬ彼らに、勝利が続くはずはない」

「…彼らは時代が変わったことに気付かなかった」

「炎上を繰り返しては自信を失い、少数派に戻りつつあった彼らは、
 比類無き妄想力を養い、それを熱意に、世界に向かって最後の戦争を挑んだ」

「それが3年前の戦争」



109 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 00:08:39 ID:xxb7DEXA


「彼らは甲斐甲斐しく戦い、…自滅した」

「自宅内で脳内嫁の話題をふる愚さえおかした強者たち」

「その無惨を目にした多数派は、自らの偏見を捨てようと心に誓った」

「世界に平和が訪れた」

「《彼ら》のおかげで…」

「それが永久に続くよう、日本は世界と手を結んだ」


「安定から最も遠い家庭状態で、安定者たらんと働く《彼女ら》」



110 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 00:47:32 ID:xxb7DEXA


《経済崩壊11ヶ月前(イエローアラート)》

「その時、私は東京にいた」

「変質者の戯言にならぬよう、机に向かい、条約の草稿に筆を走らせていた」

「総人口の10分の1が集まる狂気の都会を訪れていたのは、
 『メイド一筋』の共案者達がいると聞いてのことだったが、会議室が埋まる程とは思わなかった」

「この純真な瞳で発案させれば、世の微睡みも忽ち吹き飛んでしまうだろう」

「そのはずは、『自称』人権団体の介入で潰えた…」



111 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 01:19:21 ID:xxb7DEXA


「…後に残ったのは、『雪さんフリーク』。お蔵入りも躊躇われるA4用紙が『数枚』」

「そんな場合でもないだろうに、私の筆は勢いを増した」

「条約の第一条には、家庭のありがたさが強調され、第二項は人のありがたさが説かれた」



112 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 01:31:54 ID:xxb7DEXA


「…発案者の責任ではない」

「『自称』人権団体が無断で侵入してきたことは」

「そして、会議を開いている真横の土地が幼稚園の建設予定地だったことは」

「…自分至上主義者の唱えた題目のために、8人が捕まった」


『知りません』
(↑警官の任意同行に対して)

「ただ一人部屋に残っていた雪さんフリークは(警察に)視線を合わせる事なく言った」

「自分で書き上げた草案をみて、私は独り微笑んでいた」


「提出された草案は、A4用紙ごと人権委員によって取り上げられた」

「原稿無きまま、『人権』という言葉ばかりが一人歩きしていく」



113 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 01:58:24 ID:xxb7DEXA


(ある男の独白2)


「2013年1月27日」

「欧州での経済崩壊を切掛けに、遂に日ノ本は世界との交渉に踏み切った」

「【家族補完計画】の始まりだ」

「辛い日常に疲弊した各国は、伝統的なメイド服を前に屈伏」

「数日の内に、内戦地を除く全世界相手の協議を始めた日ノ本政府は、外国人コスプレヤーを招集」

「…欧州との連携に望みをかける」


「ここまでは、教科書にも載っている」



114 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 02:20:28 ID:xxb7DEXA


「だが、資料の中に、奇妙な草稿に紛れていた」

「一人の男が編纂した文章。…そしてそれに挟まれていた『本当の弱者達』の悲痛な叫び」

「情報としては不鮮明なモノが多い」

「…だが、各国はそこに惹かれた」

「世界は彼らの視点で、《何か》を創造することを考えた」



115 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 02:26:44 ID:xxb7DEXA


「その先には《何か》がある」

「この世界に本当に必要なものか、ただの理想論か」

「はっきりとした外形など無い」

「…存在自体があやふやだ」

「ただ、思案に暮れる国々の中から、早期に相互協力を取り付けることが出来た」


「姉という少女の国は、その中の一つだった」



116 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 03:21:55 ID:xxb7DEXA


(再び炬燵内)


兄「そうして昨年の今頃、世界に《何か》が生まれた」

姉「…………」

兄「何せ急造も急造。既存の組織を併合させたり、なんだったり」
姉「では、《メイド》も?」

兄「君達の部隊名や作戦名を調べてみると良い」クイクイ

従「…これが私のコードネームの源流となった少女です」


カチカチ

姉「…!!」ナント

兄「『本物』は姉君をツインテールした感じだな。可愛らしいな」

従「…自分を《何か》で枠固めし、後の立脚点とする。実に弱い人間の生き方でしょう?」

兄「しかし、世界はそれに《何か》を求め、希望を託した」



117 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 03:52:23 ID:xxb7DEXA


兄「…次に、破綻を前に焦る各国は《何か》の方向性を、日本の漫画やゲームに求めた」

従「『愛嬌』と『ハッピーエンド』を兼ね備え、具体的な幸せな世界観がありますから」ニコリ

兄「…かくして、世界に平穏が訪れるはずだった」

コポコポ

姉「でも、それは子どもの持つ『楽しい空想の理論』だ」

兄「ん、その通り。虚像に自分を投射しただけの『偽物』に浸るだけの自慰行為だな」

姉「…………」コクコク



118 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 04:53:35 ID:xxb7DEXA


兄「だが、そこらは後の世代が考えれば良い」

姉「………?」

兄「…早い話、今はまだ『全世界共通の新しい宗教』を立ち上げた段階なんだ」

従「日ノ本人らしい表現ですね」
クスリ

兄「姉君は、日ノ本の役人が、どうやって公務員を増やす方法を知ってるか?」

姉「…………」フルフル

兄「…何でもいいんだ。《何か》理由を見つけて人を配置する。それで万事完了だ」

姉「…………」アゼン

兄「《何か》を求める人間を国で雇い入れ、多国籍派遣会社の従業員としてしまう」

従「そして、『安全性』と『透明性』が約束された職場で、『共通の認識を持つ仲間』と生活させる」



119 名前:以下、名無しが深夜にお送りします:2012/01/27(金) 05:18:31 ID:xxb7DEXA


兄「まあ、参考までにだが」

姉「?」

兄「…コードネーム《エルシェラント・デモン・アノイアンス》君に質問だ」

従「はい、なんでしょう?」

兄「自分は《日ノ本国公安調査庁の人間》として、君に聞きたい」

従「…………」

兄「君の所属する団体名、本当の任務、それと精密なスリーサイズの提示を要求する」

スッ

従「『禁則事項です』」




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姉「妹に監禁された」#前編
[ 2012/03/26 14:23 ] 戦争 | メイド | CM(0)

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